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夏の思ひ出(K)

 すみません、ミョウガの食べ過ぎか、うっかり先週金曜に更新を忘れてしまっていました。Kです。
 近年、夏になると、聖エーデルワイス大学の大庭美子先生の山梨のお宅を訪問させていただいています。それはそれは美しいフラワーガーデンがあり、今年も夢のようなひとときを過ごさせていただきました。
 園芸種に詳しい大庭先生に、庭の花の名前をたくさん教えていただきます。カタカナの美しい綴りが次々口から出てくる様子は魔法のようです(毎年聞くのに覚えられない......)。
 一方、山道を散歩中に見かける野草の名前は、自分の担当です。
 しかし、「ナホちゃん、これは?」と尋ねられた、路端に咲き乱れる白い小さな花の名前が、とっさに出てきませんでした。
 なんだっけこれ、素敵な山梨の高原でなくても都会のそのへんに生えまくってる、めちゃめちゃ見慣れているやつ。なんなら雑草不毛地帯・東京都千代田区麹町ですら探せば見つけられるこいつ......。
「なんか......確か、あんまりいい感じじゃない名前です。ヘクソカズラ的な」

ハキダメギク.jpg

 ヘクソカズラ(屁糞蔓)は、ついこの間紹介しましたが、葉や実をすりつぶすと臭いにおいがするためにこうつけられた、植物界におけるキングオブヒドい名前の草ですね。 
 とりあえずそう答えておいて、あとで調べたらすぐわかりました。
 ハキダメギク。
 そう、ハキダメギク。
 ヘクソカズラ的と答えた自分、間違ってなかった。
 そこそこかわいい花なのに、誰がつけたんでしょう、こんな名前。

 命名者はなんと、日本の植物学の父、牧野富太郎先生でした。ぐぅ。
 ヘクソカズラは自分の臭いだからもうしょうがないけど、ハキダメギクは掃き溜めじゃないところにだって、避暑地の高原にだって生えているのに。うっかり掃き溜めで牧野博士に採集されてしまったのが不運としか言いようがありません。
 私はハキダメギクへの同情を抑えきれない...かと思いきや、やはりこうなってもどこかハキダメギクを下に見ていることを自覚せずにはいられないのでした。名前とは恐ろしいものです。

 次回は、童話みたいなかわいさのキツネノボタンをご紹介します。

◆道端の小さななかま(第61回ハキダメギク)

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