本棚の二列目

本棚の二列目

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単身赴任の本棚(田中)

ポプラ社の田中と申します。

現在単身赴任中で徒歩通勤なので、通勤電車の中で本を読む機会がなくなった結果、読書量が圧倒的に減っており危機感を持っています。
子どもの頃から本は大好きで、外で友達と遊ぶより家の中で一人本を読むことを好む少年でした。
では、本棚の紹介に移ります。

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全景です。前回の藍澤さんと比べると質量ともにホントに恥ずかしいほど貧相な本棚ですが、1Kマンションの侘び住まいなのでこれが限界です。最下段に並んでいる(二列目も全て)DVDは『鬼平犯科帳』(フジテレビ 中村吉右衛門Ver. 全81巻)です。東京への引っ越しの荷造りの時に、これを全巻持って行くと言って妻に呆れられました。

今はこんな本棚しかありませんが、昔から本棚の佇まいのようなものが好きでした。

若い頃は自分の本棚を人に見られるのはとても恥ずかしいこと、という感覚がありました(単なる自意識過剰なんですが)。何と言うか自分の『本性』が知れてしまうような。しかし、この本棚の中に私の『本性』を知る手掛かりはあまりありません。その殆どは自宅(兵庫県)の本棚に大切に置いてあります。東京に来てから買った本の中でも特に文芸関係は家族(妻と次男)も読むことが多いので自宅に送ったものがたくさんあります。ご容赦ください。

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一段目の一列目です。繰り返し手に取る機会の多そうなものを置いています。よって、ここには仕事・プライベートで具体的に役に立つと思って買った本、この分野を勉強しようと思って買った本が多く置いてあります。ここ数年は文芸書よりビジネス書・実用書を読む傾向が強くなりました。あとは、昔から長~い付き合いの腰痛を何とかしたい一心で買った本など。

読み物の中ではこの棚の真ん中より少し右寄りにある『友情』がとても好きです。2016年に亡くなられた、元神戸製鋼の名ラグビー選手で全日本の監督も務められた平尾誠二さんと京都大学iPS細胞研究所所長である山中伸弥さんの、平尾さんが亡くなる前一年間の、文字通り「友情の物語」です。私はこのお二人と同学年なので、家族同士の交流を含む友情と愛情が、より一層心に沁みました。


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二段目の一列目。皆さんは「何故『かがみの孤城』が2冊あるの?」という疑問をお持ちかもしれません。一冊は普通に書店で買いました。そしてもう一冊は、、、

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これです!
著者である辻村深月さんに本の見返しの部分にメッセージを頂いたものです。私が一般書事業局(社内用語:大人向けの本のこと)の担当から図書館事業局(当時)にかわる時に、当時の仕事仲間が飲み会を開いてくれて、その時にプレゼントされました。辻村さんに事前にお願いしてくれていたのです。このメッセージの左側にはそのメンバー達が書いてくれた寄せ書きもあります。この本は私の一生の宝になりました。

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一段目・二段目の二列目です。
年齢を重ねた結果として時代小説が好きになったという部分もありますが、比較的若い頃から読んでいて、特に池波正太郎は30代の頃から大好きで読んでいます。自宅にはもっとあります。

池波正太郎ファンは一般的に『鬼平犯科帳』派・『剣客商売』派・『藤枝梅安』派に分かれると言われていますが、私は小説では圧倒的に『剣客商売』派です。因みに映像では何と言っても中村吉右衛門の『鬼平犯科帳』派です。吉右衛門さんの演じる鬼平(長谷川平蔵)は私にとってのヒーローです。ちなみに長谷川平蔵は実在の人物で、たまたまですが彼のお墓は今住んでいる場所の近くにあります。

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そしてもう一人のヒーローが白洲次郎です。一般的には「白洲正子の夫」という言われ方をすることが多いかもしれません。生前の頃の(特に1945年以降)彼に対する社会の評価はすさまじく様々ですが私はかなり好きな人物です。本人の著作ではありませんが、自宅の本棚には「白洲次郎棚」があります。白洲夫妻のお墓は私の故郷である兵庫県三田(さんだ)市にあります。白洲家の祖先は江戸時代三田藩の儒者だったそうです。
ちなみに自宅の本棚には他に「シャーロック・ホームズ棚」「松田優作棚」もあります。


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今は殆どマンガを読みませんが、これだけは引っ越しの時に持ってきました。本宮ひろ志さんは我々世代の男子はみんな大好きだったんじゃないでしょうか?谷口ジローさんは大人になってから好きになりました。
ここに並んでいる作品の中で一番のお薦めは『大正野郎』です。

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この2冊は桜の季節になると読みたくなる小説です。箱根駅伝の時期が近づくと『風が強く吹いている』を無性に読みたくなるのと同じです。ストーリーも全てわかっているのに、また浸りたくなる感覚と言いますか、、、。
二冊ともに内容は勿論ですが、タイトルもカバーデザインも秀逸です。『葉桜の季節に...』は藍澤さんの本棚にもありましたね。この本が好きな人は多いと思います。

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何かと話題になることの多い百田尚樹さんですが、小説としては『永遠の0(ゼロ)』より、圧倒的にこちらが好きです。最後まで読んで初めてタイトルの意味がわかりました。自分の生き方と生きていく上でのミッションの選び方がテーマになっていると思います。

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そして掉尾を飾るのはこの本!
...と言ってもピンとこない方が多いと思いますが、ポプラ文庫としてベストセラーになった『青い約束』が最初に単行本として刊行されたのが、この『夏の光』です。

出た当時(2007年)、ポプラ社内でも評判が良かった記憶があります。自分もとても好きで、書店のバイヤーさんや取次の方にお薦めしましたが、残念ながら当時は大きな売上に繋がりませんでした。この本がタイトルもカバーデザインも変えた文庫として生まれ変わり(2012年)、そこから少し時間はかかりましたが2014年に大ブレークしたのです。

自分がポプラ社の営業担当時代、文庫も含め最も多くの人にお薦めした本であり、何度も繰り返し読んだ本です。本・演劇・映画などの中には感心はするけど感動しない作品というものが少なからず存在します。この本に関してはテクニック云々ではなく(著者は当時日経新聞の記者だったと思います)、それを遥かに超える震えを感じました。

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本棚からはみ出した本は机の上に移動しています。もともとは家で仕事などする時に使うつもりで置いた机ですが、今や完全に物置と化してしまっています。

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番外編。
自宅のメイン本棚です。犬を撮ることが目的だったので、わかりづらいかもしれませんが、床から天井までの造り付けの本棚が欲しくて、自分で図面を引いて大工さんに作ってもらいました。
自宅には幾つかの本棚がありますが、私の『本性』に大きな影響を与えた本たちが今でも多く眠っています。

これは随分前に自宅に帰った時に撮った写真で『老犬と本棚』というタイトルで自分の胸の中に飾っています。彼女は先月、齢14歳で天寿を全うしました。

以上です。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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