言ってはいけないクソバイス

犬山紙子

言ってはいけないクソバイス

2

「気まぐれな猫にならなきゃ」
王道のモテクソバイス

教えてクソバイス、第2回目は読者のこの投稿から。



私が大学生だったとき、同期でとにかくクソバイスをしてくる男がいました。2年生のある日、サークルの部室で女同士恋バナをしていると、横で聞いていたその男が突然、「Kちゃん(私)はさー、性格が犬っぽいんだよな。ダメだよ、ネコじゃないと女はモテないよ? 犬みたいに好きなやつに尻尾ふるんじゃなくて、もっと男がドキドキするくらい気まぐれにならなきゃー」と 言われました。そのとき、なんとなく説得力を感じてしまい、「そうなんだー!」と馬鹿な私は感心してしまいました。しかし、よくよく考えて見ると、犬系猫系ってくくりなんだよ? そもそもお前の好きな女のタイプがそうなだけで、私はお前のことなんかクソほどにもタイプじゃないし、お前がそのモテ男的立場からしょうがないなー教えちゃう! みたいなスタンスで話しかけてきたのが非常に腹立たしいし、マジくそ。と思いました。
この怒りが4年経った今でも忘れられません。まだ付き合いのある友人なので、思い出話を肴に飲んでいるときにでも掘り起こして言い返してやりたいです。私は昔(今からでも)何と言えばよかったのでしょうか?



出た、頼んでもないのにモテアドバイスしてくる輩ですね。「男はこうだから女はこうしろ」って押し付けをしてるだけなのに「良い事教えてやった俺」 と勘違いしてるおバカさん。これって、クソバイスしてますよって教えない限り一生他の女にもやり続けるので、ここで是非連鎖を断ち切りたいところです。でも、「別にアドバイスとか聞いてないんですけどー?」とか言うと「そういう可愛くないこと言うからモテないんだよ」とまたクソバイスしてくることうけあい。なにこのクソバイス地獄は......。じゃあ、当時はなんて対応するのが良かったんでしょう。


更なるクソバイスを防がねばならないので、彼が我に返るようなことを言うのが良いのかもしれません。となると、恥ずかしいところや図星をつくのが一番。Kさんが書いた通り、モテテク系クソバイスって、する側が恋愛マスターみたいな顔をするのでそこをつつきましょうか。


「わあ~、○○君今俺ってモテマスターですけど? って顔になってるよ~! 表情だけ北方謙三~! ソープ行け~!」


うん、これ言われたらもうモテ系クソバイスできないはず。私だったら絶対にできない。恥ずかしすぎるもん!


じゃあ、現在のKさんが掘り起こしてチクリという場合を考えましょう。正直に、あの時嫌だったんだけど、と言うのが本当は一番ですが、それだと「お前、その卑屈なところ治せよな」と、これまたクソバイス地獄に陥るかもしれない......。うん、ちょっとギャフンと言わせてやりましょう。


「○○君って、犬っぽいからダメだよね。女の子見るとすぐ尻尾ふるじゃん。猫みたいに気まぐれな男じゃないと女はドキドキしないよ?」


クソバイザー(以下バイザー)は自分が教える立場であることを好むので、他人からのクソバイスには人一倍イラっとするもの。何年も前のことだったら バイザーのほうも同じことを言ったことを忘れて、イラっとします。「お前の好み押し付けんな」とか言ってきたらしめたもの。「嘘嘘、これ昔アンタが私に言ったことだよ」とネタばらしをしてやりましょう。
で、もし彼が覚えていた場合(大概覚えてないけど)。「え? それ昔俺がお前に言ったことじゃん」となるでしょう。そしたら「ぶっちゃけ、今イラっとしなかった? あの時の私もそれと同じ気持ちだったんだからね!」と肩を叩いてやりましょう。


実際バイザーに言ったわけでもないのに、書いてる犬山スッキリしてきました。
......でもね......
こんな偉そうなこと書いてる私もバイザーでしたから......。


しかも、これの逆。恋愛系の指南みたいな仕事をちょこちょこするようになって1ヶ月目位の時の私、スーパー調子こいてたんですよ。「私の恋愛のアドバイスに需要あるの?」って。で、男子捕まえて「アンタ、好きな子いるの? え? 教えない? いいじゃん、いいなよ。あ、いるんだ? メール見せなよ! いいから! 添削してあげるって! ホラ!」というバイザーの中でもトップバイザーでしたからね......。
私くらいのトップバイザーになると、相手が求めてないのにではなく、相手が拒否ってるのに無理やりクソバイスかましますから。


でね、その時鏡がいっぱい貼り付けてあるカフェだったんで、クソバイスしてる自分の顔が写ったのですが、その時の表情が邪悪なひょっとこみたいでして......。
私としては夏木マリあたりの恋愛知ってるいい女感出てると思ってただけに邪悪なひょっとこ(ようするにドブス)にビックリ。そりゃ、相手もビビって嫌でもメール見せるわ。怖いもん......。
それ以来犬山はモテ系クソバイスをするのはやめたのでした。あの時の男子、ほんと、ごめん!

<編集部より>
犬山紙子さんがたくさんのクソバイスを紹介し、問題点やなすべき対処法を考える、おもしろお役立ちエッセイ『言ってはいけないクソバイス100』を 2015年9月、ポプラ社より刊行いたします。

・性別
・年齢
・みなさんが受けたorしてしまったクソバイス
・そのクソバイスにまつわる簡単なエピソード
を、ぜひお送りください。
送り先はこちらです。no.more.kusovice@gmail.com

みなさんにお送りいただいたクソバイスの中から、いくつかを前述の書籍に掲載させていただく可能性があります。その場合、出版権はポプラ社に属し、著作物使用の対価は無料とさせていただきます(出版の際の、謝礼や本の贈呈は、大変恐縮ですがございません)。また、投稿していただいた文章は、出版時に内容の主旨が変わらない範囲でまとめる場合がございます。クソバイスをお送りくださる際には、あらかじめ、上記の事項をご了解くださいますようお願い申し上げます。
お送りいただいた個人情報は、他の用途には使用いたしません。

<例>
28歳、男です。
先日、会社の飲み会でイケイケな女性の先輩に「男のくせに車欲しくないとか意味わかんなーい!」と言い放たれました。男のくせに、というのもひっかかりましたし、なんだかすごく気持ちがふさぎました。

このくらい簡潔でも、もっと詳しく書いていただいてももちろんOKです。複数書いてくださってもまったく問題ありません。
たくさんのクソバイスをお待ちしております。よろしくお願いいたします!

Profile

犬山紙子

1981年生まれ。エッセイスト。美人なのになぜか恋愛が上手くいかない女性たちのエピソードを綴ったイラストエッセイ『負け美女』(マガジンハウス)で作家デビュー、女性観察の名手として注目を浴びる。

Pick Up Book

  • かがみの孤城
  • i
  • 私のスポットライト
  • ビオレタ

お知らせ

Cov_shigotoba_R.jpg佐藤ジュンコさんのコミックエッセイ『仕事場のちょっと奥までよろしいですか?』が刊行になりました。作家・伊坂幸太郎さん、漫画家・いがらしみきおさんから伝統工芸の職人さんまで「作ること」のプロ15名の仕事術をイラストでルポ!

達人たちの仕事場にお邪魔したら、楽しい驚きがいっぱい。まさに大人の社会科見学!ふむふむ、へーと読んでいるうちに、むくむくとやる気が湧いてくるお仕事エッセイです。

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(本書より)
・缶切は無理、急須も無理
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・自動販売機で小銭を入れづらい
・握手するとき左手を出しかけ一瞬挙動不審になる
・定規で線を引くと目盛りが逆
・アルミホイルやラップが切れない
・習字の止め、ハネができない
・スポーツの部活などから勧誘される...ほか多数

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