玲子さんのおしゃれクロゼット

西村玲子

玲子さんのおしゃれクロゼット

3

捨てない修行

収納のキーワードは
ひとめでわかる楽しい分別!
でも、どうしてこんなに
ものがあふれてしまうのか。

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アクセサリー類を飾り棚の引き出しに並べて収納している。最初は二つの引き出しで充分だったのに、いつの間にか四つの引き出しを侵食しているアクセサリー。宝石と呼べるものは数えるほどしかないが、そのわずかを覆い隠すかのように、手作りが幅を利かせている。泥棒対策では決してない。それどころか、作ったものと間違って乱暴に扱い、ブローチのルビーの原石が抜け落ちていたこともあった。幸い、バッグの中に転がっていて胸をなでおろす。

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持たない、捨てない、ためこまない、というようなタイトルをちらりとインスタグラムで見て、一瞬、矛盾しているかのような、捨てないという言葉。吟味して買えば決して簡単に捨てられるものではなく、「持たない」と「ためこまない」は、捨てないための序章であるのだろう。

取りあえず、こうして身につけるときに分かりやすい収納と自慢気味に描いてみたものの、もう少し何とかならないの、せめて三個の引き出しにして、はみ出したものは何とかする。何とかするとしか言いようがない。捨てない、の序章のはずが逆になってしまっている。収納問題は死ぬまで続きそう。

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それはひとまず置いといて、チョコレートやクッキーの箱の仕切りを上手に利用すると、一目瞭然。ブローチ類、指輪類、ネックレス類とか、分別が楽しい。クロゼットの上の引き出し、二つに分かれている一つにベルトや春夏のスカーフを収納。こうして時々並べ替えたりするのは楽しい作業なのだが、反省が伴う。何でこんなにベルトがあるの。全然使わないものもほらほら。そしてベルトというものの機能に思い至る。

昔はシャツやブラウスはパンツやスカートの中にインしていた。今は嬉しいことにインをしなくていい時代。そうしているうちにインが再流行しても出来ない身体になってしまっている。シャツを上に出してベルトを腰骨の辺りに、という時代もあった。ダブル浅野が浮かんでしまう。そういうのも最近は流行らず、強調してはいけないお腹周りである。それでもなお、なぜベルトがあるのかというと、ヒップが小さいのでパンツが下がってしまうのである。お腹は立派でもヒップが小さい。前と後ろが逆だと良かったねと娘が笑う。

それだけのためなら一つあればいいのです。でもね、捨てられない。このマルニのベルト、バックルが可愛いの。このコンチョベルト、細工がいいでしょ、ラルフ・ローレンらしいところが気に入っていて。この白くて細いのはユニクロ、軽くて出番が多い。こればかりといっていいくらい。ユニクロだけど+Jだったし。と、どこまでもブランドに食いつく。そういう時代の申し子だ。

こうして引き出しを並べて、画を描きながら、原稿を書きながら、何年もつけてなかったチェーンと赤いビーズがちらちらしているネックレスをつけて鏡の前に。白いシャツの首元に綺麗。原宿のおしゃれなお店で買った。お店の男性まで思い出す。有り難うございます、故障したらいつでも応じますのでよろしくお願いします。そんな言葉まではっきり思い出した。自分も楽しんで手作りするのに、心無いことをしているようで恥ずかしくなった。

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捨てないという精神には気迫がある。ダンシャリに違和感を覚えていた私には、もう一つの修行、捨てない。かしこまりました。

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Profile

西村玲子

イラストレーター・エッセイスト。ファッション、インテリア、映画、旅など、多彩なテーマを文章とイラストで綴り、洗練されたライフスタイルを提案し続けている。著書は最新刊の『おしゃれは楽しく いつも好きな服で』など200冊以上。

Pick Up Book

  • かがみの孤城
  • i
  • 私のスポットライト
  • ビオレタ

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