玲子さんのおしゃれクロゼット

西村玲子

玲子さんのおしゃれクロゼット

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戒めは次へのステップ

クロゼットはタイムマシン?

思いがけないものが現われて、

遠いむかしの自分と

向き合うこともあるのです。

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整理をしていたら、隅の方にごそっと旅行用の手提げがいくつか重なってぐったりとした様子で見つかった。声には出さず、ごめんなさいと謝る。態度には出さず、深く頭を下げる。物言わぬ彼らに何度反省させられるか、これからもそれがずっと続くはず。こういう年齢になるまで平気で無駄なこと、平気で贅沢なことをしていた自分を恥じる。

何年か前からは贅沢も無駄もなくしてきてはいるのだが、何年も前の証拠品がこうして残っている。せめて、それらを使い込んで擦り切れるくらいまで使っていたのなら、心は痛まないが、このジル・サンダーの旅行鞄、エルベシャプリエの大型バッグ、やれやれ、その中に小さいものまで入っていた。他、そんなものがいくつかあった。

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話は変わるが、バッグや袋物の収納が苦手である。箱や袋にしっかり仕舞いこむと、その存在を忘れてしまう。使わないからと上の方に並べるといつまでも使わない。この時、ピカーンと閃ひらめく。4つのクロゼットの1つをバッグ、袋物、帽子類(そんなには無いが)、スカーフやストールなどの収納にするというアイデア。

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ということは服の4分の1を処分しなければならないということ。ふふふ、なんだか楽しくなってきた。今すぐその作業に取り掛かりたいところだが、明日はワークショップを頼まれている。1 回目の会は10 時からだ。その時に着る服を考えたり、いろいろ準備がある。でも作業を実行したい。着ていないものは処分する。それが出来ればいいのだけれど、無理だと思うから、とりあえず畳んでクリアケースに。

流行もあるけれど、年齢のせいで持てなくなる物も増えてくる。若い頃なら難なくぎっしり詰めて何泊かの旅行にも出かけていた。エルベシャプリエのバッグなどはスーツケースに入れ、帰りには旅行中に買ったものをそれに入れて、機内持ち込みの荷物にしていた。

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今は滅多に海外旅行もしなければ、行ったとしても買い物などしない。年に一度の東南アジアのリゾート旅は、トゥミの小型キャリーバッグで充分。2泊くらいの国内の旅なら、トートバッグ。着たきり雀すずめに近い形で、荷物は少なくする。

年齢とはそんなものである。だからといって折角買ったそれらのものを、忘れ去って平気でいた自分が許せないのである。叱ってくれる人がいなくなって、自分を自分で戒めなくてはならない。

戒め? 戒めと言えば、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の映画『デカローグ』5枚セットのDVDボックス、10 篇の素晴らしい物語が入っている。人間の根源にある清らかさに胸を打たれる。

これを観て清らかな気持ちを浴びたい。しかし、明日は朝が早い。それもこれもお預けだ。バッグ類のクロゼット、次回に御期待ください。

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Profile

西村玲子

イラストレーター・エッセイスト。ファッション、インテリア、映画、旅など、多彩なテーマを文章とイラストで綴り、洗練されたライフスタイルを提案し続けている。著書は最新刊の『おしゃれは楽しく いつも好きな服で』など200冊以上。

Pick Up Book

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  • 私のスポットライト
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