玲子さんのおしゃれクロゼット

西村玲子

玲子さんのおしゃれクロゼット

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旅の服はストイックに

久しぶりのニューヨーク旅行。
ショッピング三昧を卒業したら
旅の形もファッションも、
ちょっと変わってきたみたい。

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 前回のニューヨークは9・11の2年ほど後だったから、10年以上は経っていることになる。えー、そんなに、と驚くところが、老人の証明である。息子との旅で贅沢は言っていられない。エコノミーでの12時間も心配していたが、クリア出来て、毎日2万歩近く歩くのも何とかこなせて、旅への自信が芽生え、帰ったらアクティブな生活を送るという指針も持った。

 旅の支度はTUMIのキャリーにゆるりと入るだけ、という風に考えると、自ずと決まってくる。まず旅服のカラーを考える。今回は、紺色、グレー、黒を中心に、パンツ2着、シャツ3着、Tシャツ2枚、スカート3着。軽く羽織るようなコート1着。カーディガン1着。ストール1枚。アクセサリーは簡単な手作りと、1連のパールネックレス。靴はスニーカーと、それ以外の歩きやすい靴。

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 その組み合わせで10日間の旅を取り仕切る。このストイック感がなんとも嬉しいのである。季節は9月の終わりで、異常に暑い秋だったのだが、イラストは本来の季節の旅服に。ニューヨークの秋、黄色一面のセントラルパーク、というものを見てみたいものだわ、と思っていたのに残念。

 そうでもなければこの12月、クリスマスシーズンがロマンティック。12月の比較的寒くない時期を想定して旅服を妄想。暖かい上着、例えばPコートなどにパンツ、スカートとこれも暖かいレギンスを組み合わせるとか、それならロングコートより動きが楽。

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 足りなければ向こうで買えばいいじゃない、という人がいるが、それは以前の方法。ショッピング中心の以前の旅なら、戦利品を増やしてわくわくしながら帰って来た。今は自分の嗜好が固まっているし、どこにでも好きなものが待っているとは限らない。自分のクロゼットの服の調和が崩れるのが嫌なのだ。慎重に選んで揃えている心算(つもり)のカテゴリー。そこを崩したくないのである。

 と、こう書きながらそこまで自分がきっちりと神経質な人間であるわけもなく、他に原因があるはず。そうです。円安で何もかもが異常に高いのである。以前のように5番街の高級デパートに踏み入るわけには行かないのだ。

 幸い、息子との旅。植物園や公園、美術館やサークルライン、ブルックリンのホテルに泊まっていると穏やかな庶民の日常が大切に思えて、結果、買い物は何一つしないで、ゆるりとしたバッグには、公園で拾った木の実や、木切れ、植物園で買ったガラス瓶の中に作る苔庭のキット。100歳で庭作りを始めた詩人の写真集、などがパンパンに収まり、旅の形の面白さにうっとり。

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 ちなみにガラス瓶の苔庭は英語の説明もちゃんと読めずに、失敗に終わって反省。苔を上手に育てられなくて申し訳ありません。ブルックリン植物園で次回があるなら、もう一度挑戦したい。

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Profile

西村玲子

イラストレーター・エッセイスト。ファッション、インテリア、映画、旅など、多彩なテーマを文章とイラストで綴り、洗練されたライフスタイルを提案し続けている。著書は最新刊の『おしゃれは楽しく いつも好きな服で』など200冊以上。

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