玲子さんのおしゃれクロゼット

西村玲子

玲子さんのおしゃれクロゼット

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今からでも始めなければ

おしゃれと物との戦いは
いつだって背中合わせ。
快適な衣服生活を送るための
方策を真剣に考えてみる。

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 寒くなると、昨年もその前の年も買っているのに、寒さ対策のあれこれをユニクロなどで買ってしまう。今年もその季節だ。今年最高のあったか商品、と謳うたうフリースをポンポン。ポンが二つなのは娘のもの。昨年買ったのより断然暖かそう、安いから何の躊躇もしないで買う。

 安売りコーナーにメンズのⅩLサイズの薄手ウールセーターを見つけた娘。いい色だわとポン。ちょっと、ⅩLよ、と注意すると、このたっぷりしたのがいいのよ、肩が下がるのが今の流行なのよ、という。

 帰り着いて早速、ⅩLを着て鏡に向かう。ほら、丈も、肩のラインの落ち感も良いしと大満足の娘。
私も買えばよかったかな。

 そんな娘は不要なものを処分している最中だという。私が以前あげたものを、返してきた。ジル・サンダーのショルダーバッグとビームスの布バッグ、見なければ忘れていたものを、こうして目にすると悩む。どうする? 捨てる? と娘。一応持って帰る。他にもこれも一応持って帰ってと紙袋を渡された。

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 10分ほどで我が家に着く。紙袋の中には、あったかスカート、タイツ、毛糸のパンツ、フリースの靴下などが入っていた。そのまま袋に戻して、溜息をつく。どっと疲れた。今日はこのままにして寝ましょう。

 物との戦いとおしゃれを楽しむこととは背中合わせだ。上手にバランスを取れれば、快適な衣服生活を送れるのだが、私の場合、どう考えても入ってくる方が多い。そして滞る。忙しい生活を送っているとこの傾向が顕著。増やすことは簡単だけれど、減らすことにストレスが掛かる。増やしたものもいずれはストレスの元になるというのに、このセオリーを忘れている。

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 退屈な長い道のりを歩く時、持ち物を数え上げてみる。驚くほどの数が挙がる。止めた止めた、忘れることにしましょう。忘れることにする、これが悪の元凶。忘れてはいけない。しっかりと頭に刻む、しっかりと点検する。出来ることならば、素敵なイラストやコラージュにしてノートに、レシピノートのように描いてみたい。これとこれの組み合わせなどと楽しんで描くと、新しい組み合わせを発見したり出来るかもしれない。

 豆乳とお味噌を合わせたり、魚を煮るとき、生姜は必須だけど、梅干入れたらよろしおすえ、昆布だしの昆布捨てるなんて勿体無い、それで佃煮作ったらおいしおすえ、といったように、そのスカーフは上からくるくる巻いてもええし、小さく畳んでコートの中にブラウスのようにしてみても活きてきますえ、などと、妄想が膨らんだ。

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 そのノートには、買った時の日付を明記しておくこと。後々、捨ててもいいかなと思ったときにそれを見たら、こんな前のものならね、と処分を後押ししてくれる。今さらね、という気もするが、いやいや今からでも始めなければ。若い皆様方はぜひ今から始めてくださいませ。

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Profile

西村玲子

イラストレーター・エッセイスト。ファッション、インテリア、映画、旅など、多彩なテーマを文章とイラストで綴り、洗練されたライフスタイルを提案し続けている。著書は最新刊の『おしゃれは楽しく いつも好きな服で』など200冊以上。

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