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第1回

先行公開!【漫画いしぶみ 1】その日の朝

2025年、戦後80年の節目に、ポプラ社は一冊の本をコミカライズします。『いしぶみ 広島二中一年生全滅の記録』(広島テレビ放送 編/ポプラポケット文庫)です。


原爆投下の日、爆心地から約500mの場所にいた広島二中一年生320余名が、どんな運命をたどったかを、克明に記録した本です。1970年に刊行され、以来55年間、形を変えながら多くの人に読み継がれてきました。

本のもとになったのは、広島テレビ放送が1969年秋に全国放送した番組「碑(いしぶみ)」です。

この番組は、1945年8月6日の朝、建物疎開作業のために集まっていた広島二中一年生の身に起きたことを、生き残ったご家族にアンケートを送り、返ってきた回答やお手紙から、でき得るかぎり記録して伝えようとした番組でした。

放送の翌年、テレビ放送に収まらなかった証言も含め、わかった話をすべて収録して出版したのが『いしぶみ 広島二中一年生全滅の記録』です。

タイトルにもある通り、その日、作業現場に集まっていた広島二中一年生は、4名の先生も含め、全員、命を落としました。しかし、お母さん、お父さんに会うために大けがをしながらもなんとか家にたどりついた子、逃げる途中で家族と対面できた子、苦労して捜しあてたときには亡くなっていた子など、一人一人が最後まで懸命に生きようとしていた姿が、ここに記録されています。

戦争の記憶が薄れれば、その分、知らず知らずに脅威を引き寄せることにつながります。戦後80年を迎え、まさに今、世界はその局面にあるのではないでしょうか。

この本をコミカライズすることで、これまで戦争を遠い存在に感じていた方にも、広島二中一年生たちの身に起きたことを知ってほしい──。広島テレビ放送さんの強い思いで、漫画化が進みだしました。

『漫画いしぶみ』は2025年7月に発売予定です。ここではその一部を、先行公開させていただきます。

80年前、あの日、空を見上げていた少年たちの声に、どうぞ耳をすませてみてください。

ポプラ社編集部


※漫画版には、すべてのエピソードを収録することはできませんでした。ぜひ原作もあわせてお読みいただけたら幸いです。また、生徒たちの様子や、彼らが残した言葉をできるだけ忠実に伝えようとする原作の意図を尊重し、エピソードや時系列にはあえて手を加えず、後年判明した事実については、本文や注釈に加えました。



















サメマチオ:漫画家。第一回ネクストF大賞受賞。2009年、短編集『マチキネマ』でデビュー。日常の機微や四季、モノに着目した作品を得意とし、その独自の視点がエッセイ・ストーリーマンガのジャンルを問わず幅広いファンを持つ。主な作品に『きみの家族』(芳文社)、『春はあけぼの月もなう空もなお』(宙出版)、『ホテルサラマンダー』(講談社)、『わっちゃんはふうりん』(秋田書店)、『追読人間臨終図鑑』(徳間書店)など。

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