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【うちがふつうで、よそがへんなの!1】バニラアイス
「コンビニ行くけどなんかいる?」と父が言った。 父は病気がちになってから、働かずに家にいることが増えたのだ。あまり遊びにもいかず、放課後や夏休みはずっと家にいる中学生だったわたしは、父と過ごすことが多かった。 そうは…
「コンビニ行くけどなんかいる?」と父が言った。 父は病気がちになってから、働かずに家にいることが増えたのだ。あまり遊びにもいかず、放課後や夏休みはずっと家にいる中学生だったわたしは、父と過ごすことが多かった。 そうは…
プロローグ 三月も後半に突入した某日。洋菓子店『月と私』に、飛行機で海を越え子羊たちがやってきた。「あっ、アニョー・パスカルの型、アルザスから届いたんだね。見せて見せて。うーん、型だけだとちょっとシュール? でも可愛…
小学生の私は、よく変な遊びを考案していた。 例えば「ヒロシ色鬼」。ルール自体は〝鬼につかまる前に指定された色に触る〟という色鬼のルールそのものなのだが、私はそこに当時はやっていた「ヒロシ」という芸人の要素を取り入れようと…
なにか新しいことをはじめたいなと思うことがあっても、つい後回しに。気負わず、ちょっとしたことからやってみようか?例えばスタバの新しいカスタマイズだったり。タクシーアプリを使ってみたり。その先になにがあるかはわからないけれ…
春は明け方にやってくる。 まさに「春はあけぼの」、今年も三月下旬にその第一声が響いた。 声のあるじはウグイス。 空はようよう白み始めるも、それでもまだほんのり夜の気配が残っている、そんな時間に「ほー、ほけ、ほけッ」と来…
1. その昔、世界で一番大きな大陸のおよそ八割の土地を治めていた大国の名を『簫ショウ蘭ラン』といった。 簫蘭の帝都『簫ショウ京ケイ』は、広大な国土のほぼ中央にあり、その皇宮は簫京の中心地に位置した。 皇宮の真ん中には…
序章 重苦しい雲に覆われる王都の上を、鳥たちが飛んでいく。 まるでこれから起こる凶事から逃げ出すかのように。 大陸暦一七七四年、ゲルンヴィッテ王国、王都――。 否、その名はもう、ない。前年に南隣のマイス王国との間に勃発…
石川いしかわさくらのかかりつけの心療内科医は、かならず診察の第一声を「最近はどうですか」で始める。さくらはそのたびに、彼はもしかしてやぶ医者なのではないか、と疑ってしまう。夫の会社の産業医でもある人物だから悪く思いたく…
今回は羽田からロンドンへの直行便。 前回も触れたが、2023年にお友達のゆうぴーこと優河さんとニュージーランドに行った際、行きも帰りもトランジットのオーストラリアにキャリーバッグが置き去りにされるハプニングが発生した為、…
昨今わたしたちはさまざまな場面でAIの恩恵にあずかっている。もはやその活用に否定的な人は少ないだろうが、たとえばAIによって仕事を奪われるかもしれないなど、さまざまな不安も指摘されている。その不安が現実となった出来…
ネットニュースでAIの二文字を見ない日はないくらい、人工知能は——とりわけChatGPTをはじめとする対話型の生成AIは――日々の生活に浸透している。ウェブの検索結果やネット記事、さらには動画の内容までAIが要約し…
なにか新しいことをはじめたいなと思うことがあっても、つい後回しに。気負わず、ちょっとしたことからやってみようか?例えばスタバの新しいカスタマイズだったり。タクシーアプリを使ってみたり。その先になにがあるかはわからないけれ…
六十代半ば、女性、身長は百五十五センチくらい、体重は平均よりやや重いだろう。腰痛があり、右膝をずっと痛めている。 条件に合わせ、枕とマットレスを用意する。「どうぞ、こちらに仰向けで寝てみてください」 あいているベッドに…
2024年、夏。お暇をいただきヨーロッパに行くことにした。 この連載は、とにかく軽やかに、時に雑に、休息の素晴らしさについて語らう連載にしていきたいとは思っているのだが、序章は、少々重い話になりそうである。しかし、それが…
「好きな食べ物」がみつからない。 いや、好きな食べ物はいくらでもあるんだ。 なんだかいきなり情緒不安定なことを言ってしまった。私がみつからないという「好きな食べ物」とは、 「あなたの好きな食べ物はなんですか?」 と…
君の涙 やけに蒸し暑い日曜日の深夜。僕は部屋の片隅にある扇風機のスイッチを入れ、勉強机に向かった。 椅子に腰掛けてノートパソコンを起動し、映画やアニメなどを視聴できる動画配信サイトに飛び、僕に刺さりそうな物語を物色す…
氷で手を冷やしてから肉を殴る男は初めてだった。 手が傷むからと、肉叩きを使うよう云ったんだけれど〈だいっじょぶ!〉とまるで気にする様子がない。本人はこうすると肉に手の温度が伝わらず〈良いパティ〉が準備できると信じている…
2021年本屋大賞2位となった、青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』の文庫が、3月2日に発売されます。 初回配本限定で、著者の青山さんのメッセージが印刷された特別カード(名刺サイズ)が封入されます! 絵柄は上記の3種…
【201908262310.m4a】 はじめまして。村むら井い翔しょう太たといいます。よろしくお願いします。 とりあえずあの日のこと、全部話しますね。正直、気は進まないですけど。肝試しになんて行かなければ、杏あんは死な…
「ザディコ。箱船へようこそ」「わたしはオオバカナコ。はこぶね?」「それについてはボンベロから聴くと良い」 男が手を離し、パピとダフに近寄るとマルキリが手を出してきた。「アンセム」「え? あなたマルキリでしょ」「偽名に決ま…
序 其れは、図られし縁 大陸に、最大の面積を占める大国、陵りょう。 この地ではかつて、無数の悪鬼が跋扈ばっこし、人々は悉ことごとく疫病や災いに苦しめられていた。草木は生えず、水は涸れ果て、空にはいつも暗雲が垂れ込め…
プロローグ 死神から凶報が届いたのは、彼にメッセージを送ってからおよそ二週間後のことだった。彼、なんて呼んでいるけれど、もしかすると彼女かもしれないし、死神なのだからそもそも性別はないのかもしれない。いや、今はそんな…
原田マハ インタビュー
澤村伊智 避難訓練
白川尚史 不滅の願い
森見登美彦 インタビュー
塩田武士 12歳の君へ
椹野道流 もう一度行きたい場所
大島真寿美 本の森には……
寺地はるな 雨が降ったら/阿津川辰海 失恋名探偵/瀧羽麻子 我らが音楽に祝福あれ/村山早紀 つくろうひと