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古くて新しい夢
9 古くて新しい夢 商売に大人の話は付き物。 ましてや、四丁目のことになるともう本当に古い話。四丁目のアーケードに火が点いて火事になってほとんどのお店や家が焼けてなくなってしまったのは、確か昭和五十一年。西暦で言うと一…
9 古くて新しい夢 商売に大人の話は付き物。 ましてや、四丁目のことになるともう本当に古い話。四丁目のアーケードに火が点いて火事になってほとんどのお店や家が焼けてなくなってしまったのは、確か昭和五十一年。西暦で言うと一…
母親はちょっとイライラしたら、好きな食べものを食いてえって口に出す癖があります。 「あああっ! 『にんじん』のポークソテー食いてえな!」 という感じです。 「にんじん」っていうのは、実家から歩いて5分、マスターが1人…
12月半ばに入り、本格的に冬が到来している。春から夏にかけては、薄手のカーディガンを半袖の上に着て、じわじわ夏本番へと移り変わっていくような感覚が個人的にある。秋から冬になるときは、冬物はまだ出さなくていいや、などと油断…
いまにも雨が降り出しそうな、重たい灰色の雲が、午後の空いっぱいに満ちていた。 子ども用の不透明水彩絵の具の灰色で、幼い手が雑に塗りたくったような、そんな色合いの空だ。「雨というより、この寒さじゃあ、雪が降るのかな……」…
「悪いなアキ。やっといてくれた? 今度さあ、お礼に……あ。なんだこれ」「死体だよ、リト」 * 名前は榛はい原ばら理り斗と。十四歳。中学二年生。です。 あのさ、オレ死体を見るのは初めてだった。 本物のっていう意味だよ…
なにか新しいことをはじめたいなと思うことがあっても、つい後回しに。気負わず、ちょっとしたことからやってみようか?例えばスタバの新しいカスタマイズだったり。タクシーアプリを使ってみたり。その先になにがあるかはわからないけれ…
寝ていると、お腹なかに重みを感じた。このフニャッとした感触で、何が乗っているのか、今が何時なのかがわかる。 ゆっくりとまぶたを開けると、「ニャア」 という甘えた声がした。 飼い猫のミルクだ。毎朝お腹が減ると彩あや花かの…
自分は正しくて、何も間違ってないって顔してるね。 でも鬱うっ陶とうしいんだよ。正論女。 *** 春だ。 高たか須す亜あ梨りが雑居ビル五階の窓から地上を見下ろすと、そこかしこで桜が爆発せんばかりに咲いていることに気…
うとうとしている。 朝からずっと……とろとろと……まどろんでいる。 好きな場所で……好きな人を感じながら……好きな人の息遣いや……ページをめくる音を聞きながら……。 ここは東京のはずれにある小さなお店。わたしは入ってす…
「誰かと生きる」ことのもどかしさや愛おしさを掬い上げた短編集『今日のかたすみ』(川上佐都:著)。単行本刊行時から心に刺さる人が続出し、社内外で熱烈なファンを生んだ傑作として知られていましたが、このたび文庫化することになり…
8 甦らせる夢 桔平さんが持ってきたのは、石像のスケッチ。 でも、相当に古いものみたいでかすれちゃったりしていて、よくわからないんだけれども。 千弥智依さんがそのスケッチの紙を、慎重に持って見つめて。「これ、なんかすぐ…
ポプラ新書『コーヒーでめぐる世界史』の特別編。「コーヒーでめぐるオスマン帝国の歴史」(第2章)に登場したトルコ・イスタンブールのカフェを増田ユリヤの取材写真でめぐっていきます。 # # # 古来からヨーロッパ…
開園前の遊園地が、こんなにキラキラして見えるなんて初めて知った。 まだ客のいないそこは、想像していたよりずっと広大に感じる。朝日を浴びたアトラクションが、むずむずと喜びをこらえながら始まりの時を待っているみたい…
2024年、夏。お暇をいただきヨーロッパに行くことにした。 この連載は、とにかく軽やかに、時に雑に、休息の素晴らしさについて語らう連載にしていきたいとは思っているのだが、序章は、少々重い話になりそうである。 しかし、…
【201908262310.m4a】 はじめまして。村むら井い翔しょう太たといいます。よろしくお願いします。 とりあえずあの日のこと、全部話しますね。正直、気は進まないですけど。肝試しになんて行かなければ、杏あんは死な…
ロンドンでは、お友達の上白石萌音ちゃんのホテルに泊めてもらっていた。 彼女が舞台「千と千尋の神隠し」の上演のためロンドンに行くことが決まった時、 「え〜便乗しちゃおうかな」「おいでおいで」 とゆる〜い会話は交わしていたが…
商品やサービスから個人まで。魅力、強さ、価値がなかなか伝わらない時代です。差別化は考えられているのに、いったいなぜ?? その大きな理由は「付加価値をうまく作れていないから」。役立つのは「差別化」ではなく、「付加価値化」な…
「好きな食べ物」がみつからない。 いや、好きな食べ物はいくらでもあるんだ。 なんだかいきなり情緒不安定なことを言ってしまった。私がみつからないという「好きな食べ物」とは、 「あなたの好きな食べ物はなんですか?」 と…
連載第三回目は、池袋を歩く。 池袋にはプライベートでもよく遊びに行くことがある。 この街は平日、休日関わらず、人々で溢れとても賑やかだ。歩く人々を眺めているだけでなんだか面白い。 赤、緑、オレンジ、奇抜な髪色をしていたり…
君の涙 やけに蒸し暑い日曜日の深夜。僕は部屋の片隅にある扇風機のスイッチを入れ、勉強机に向かった。 椅子に腰掛けてノートパソコンを起動し、映画やアニメなどを視聴できる動画配信サイトに飛び、僕に刺さりそうな物語を物色す…
2025年、戦後80年の節目に、ポプラ社は一冊の本をコミカライズします。『いしぶみ 広島二中一年生全滅の記録』(広島テレビ放送 編/ポプラポケット文庫)です。 原爆投下の日、爆心地から約500mの場所にいた広島二中一年生…
今回は羽田からロンドンへの直行便。 前回も触れたが、2023年にお友達のゆうぴーこと優河さんとニュージーランドに行った際、行きも帰りもトランジットのオーストラリアにキャリーバッグが置き去りにされるハプニングが発生した為、…

石田夏穂『デリケートな人びと』
夏川草介「12歳の君へ」
青山ヱリ「もう一度行きたい場所」
金子玲介「もう一度行きたい場所」
大島真寿美「本の森には…」
森沢明夫『真夜中にプリンを喰らえ』/ 綾崎隼『さよなら、探偵』/ 澤村伊智『体操服』/ 寺地はるな『雨が降ったら』/ 天童荒太『祈りの森の物語』/ 東川篤哉『博士はオカルトを信じない2』