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第5回

第5回 2日目・後編 フランスにいる日本




フランスに着いた初日から相当ディープな時間を過ごしたというのに、2日目も前編後編に分けるほど盛沢山な一日。だいたい、連載5回目にしてまだ2日目のレポートなんて、いつ帰国するのだ、私よ。自分でも予定外のボリュームになってしまったのですが、しばしおつきあいくださいませ。

前回、もったいぶるように締めたエンディングの続きをどうぞ!


無事にグラン・パレでのブックフェスティバル初日サイン会を遂行し、夜に別のイベントが予定されていたこの日。


開始時刻までに少し時間があり、李さんが「どうしても青山さんをお連れしたいところがある」とおっしゃるのです。

それは、国立図書館。


おおー、素敵な建物。


なんてのんきに館内に入っていったら、



……………!!!


す、「素敵」なんて言葉では言い表せない……!!!

しばらくぽかーんと口を半開きにしたまま立ち尽くしてしまいました。


ここで本を読むなんて素晴らしすぎるけど、ただこの光景を眺めているだけでも「読書」な気がする……。棚に置かれている本たち、幸せだろうなあ……。


日本のコミックもたくさんありました!

水木しげる先生の名作、『ゲゲゲの鬼太郎』。

そして、なーんと!

こちらの『鉄腕アトム』フランス語版、我らがミヤコさんが翻訳されているというではありませんか!


すごい……私、手塚治虫先生のアトムを翻訳された方に通訳していただいている…。

ただでさえこの美しい図書館でぽやぽやしている私は、いっそう夢心地に。


しかしいつまでも夢を見ている場合ではありません。次の仕事の時間がせまっておりました。


昼はあんなに暑かったのに、夕方からは肌寒いぐらいの雨。

朝と同じように白ニットを着て、イベント会場のカフェ「朋(TOMO)」さんへ向かいます。




店内は居心地の良いジャパニーズテイスト!

「日本文化とフランス菓子を扱うパティスリー」で、雑貨や本も販売されています。
和と仏の融合がとってもハイセンスなカフェなので、パリに行かれる方はぜひ。

公式サイトを載せておきます。トップ画面の「日本語」のところをクリックしていただくと日本語の親切なページにリンクされています。


朋(TOMO)

https://patisserietomo.fr/


今回、ここでのイベントをご一緒するのは、ブック・インフルエンサーのJeannot se livreさん。


夜19:30から、本好きの参加者さんたちと、トークイベントタイム。

本について、作品について、作家活動について、いろいろとお話ししました。

SNSや動画サイトで大人気のジャノさんは、トークのテンポが良く、頭の回転の速さがさすがでした。


参加者さんのおひとりによる、『リカバリー・カバヒコ』(フランス版)の朗読も。

情感があふれていて、なんだかロマンティックでした。


イベントのあとは、サイン会。
またおひとりずつとお話しできて嬉しかったです。

トークのときに私がRADWIMPSが好きという話題が出たのですが、「私も好きです!」とワンフレーズ歌い出した参加者さんがいらして、なんだかすごく感激でした。

音楽も世界を繋いでるね、野田洋次郎さん!(ただのファンです)


外は冷たい雨ですが(ダウンコートを着ている人がいる! 昼は私、熱中症になりかけたというのに)心はほかほか。桜のディスプレイがされている店内には、私の著書のフランス語版ポスターも飾ってくださっていました。

窓に貼られているのは『月曜日の抹茶カフェ』(左)『リカバリー・カバヒコ』(右)。

テーブルの上には『月の立つ林で』もあるよ。


すべて終了したのは予定より遅めの22時近くで、夕食のお店を予約してくださっていた服部氏がそちらをキャンセルして別のお店を探してくださることに。

「何が食べたいですか?」と訊かれ、私はほとんど本能だけで


「……うどん」


と答えていたようです。

滞在中に日本食が恋しくなるという想定はしていたけど、2日目にして! うどん!

あったかくてやわらかい麺と優しいスープを欲していたんだよなぁ…と、そこだけははっきり覚えています。


夜22時にパリでうどんを要求される服部氏の心持ちやいかに、と今となっては申し訳なく思うのですが、ミラクルが起きました。

「朋」さんの道を挟んで斜め向かいに、遅くまでやっているアジアンレストランがあったのです!

服部氏、李さん、ミヤコさん、三枝さん、私の5人で、一目散にお店へ。


うどんではないけど、鶏だしの利いたフォーをいただくことができて、ものすごく満たされました。

写真を撮らなかったのが悔やまれますが、パクチーもいっぱいのっててめちゃくちゃ私好み……。

帰国後に「フランスでは何が美味しかったですか?」と何度か質問されて、そのたびに「フォー」と答えそうになって「やっぱりスイーツが美味しかったですね」などと笑ってごまかしていましたが、実際、一番美味しかった記憶は間違いなくこのときのフォーでした。


ということで、いろんなことがあった2日目もミッションクリア!

皆々様方にお世話になりっぱなしで頭が上がらないまま、ホテル着。

部屋ではあの可愛い暖房機が待っていて、「ただいま~」と声をかける私をつぶらな瞳で見上げているのでした。続く!



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