
朝、パリのシャルル・ド・ゴール空港に着いてから4時間後、部屋と自分を整えたところで、仕事のスタート。
16時30分。
まず最初に組まれていたスケジュールは、Radio VINCIというラジオ局の番組「Marque-Page」の収録でした。Radio VINCIはフランスの主要高速道路網のラジオ局で、一日に250万人の聴取があるのだとか。
パーソナリティーは、司会者兼ジャーナリストのフランシーヌ・トマさん。きりっとした表情が印象的な女性でした。ホテル内での収録だったこと、ミヤコさんがお隣にいてくださったこと、自分がフランスにいていきなりラジオ収録をしているという光景になんだかまだ実感がいまいちつかめていないことで、ほとんど緊張もなくフラットに話せた気がします。
質問の内容は、著作についてのエピソードや制作秘話などについてがメインで、最後にこんなことを訊かれました。
「あなたの本は、35カ国以上で翻訳されていますが、世界中の読者に共通する主な点は何だと思いますか?」
私は口ごもってしまいました。わからないのです。自分でも、本当に。
「……なんでしょう、私にもわかりません。逆に私が知りたいです。ただありがたいばかりです」
ここで気の利いたことが言えたらさぞカッコいいだろうなと思いつつ、言葉を濁す私。
求められている答えが返せなくて悔しいまま、フランシーヌさんの軽快なトークに救われて、番組はエンディングに流れていきました。

フランシーヌさんとラジオ収録。
ミヤコさんとはこれが初仕事だったけど、そうとは思えないほどスムーズでした。
17時30分。
タクシーで「Fnac Bercy Village」へ。
CDや雑貨などもたくさん取り扱われている、日本でいうところのTSUTAYAさんのような大型書店です。
お店に入ると、ちょうど発行のタイミングだった『リカバリー・カバヒコ』のフランス語版が大展開中。
歓迎してくださって嬉しかったです。


こちらをバックに、テレビ局の取材の準備。
18時。
J-Oneチャンネルのソーシャル・メディア用インタビュー。
J-Oneは、アニメとアジア文化専門のテレビチャンネルなのだそう。

「この物語の中で、特に心を動かされた登場人物は?」という問いに、迷わず「スグルくん」と即答。
フランスでも愛されて欲しい、スグルくん。ちなみに『ただいま神様当番』にでも出てくるよ!
撮影後は、サイン会。

特に予約制ではなかったのですが、読者さんが次々に本を持って来てくださいました。
新刊だけではなく、読み込まれた既刊も差し出され、サインしながらひとりずつお話しできる喜び。
「『お探し物は図書室まで』で青山美智子さんを知りました」という方が何人もいらっしゃって、小町さんは私よりうんと先にフランスの読者さんとお会いしていたんだなぁと不思議な気持ちになりました。
店内の奥、少し離れたCDコーナーから聴こえてくるのはJ-POP。フランスの方々が日本を近しく思ってくださっていることを肌で感じたサイン会でした。
20時30分ごろ。
サイン会終了。おつかれさまでした。
夕食は三枝さんとふたりで、服部氏が予約しておいてくださったガレットの店へ。
メニューはすべてフランス語で料理の写真もなかったので、グーグルアプリ(カメラをかざして翻訳する機能)を駆使して注文。ちゃんと食べたかったものがサーブされてよかったです。
翻訳するためにカメラ機能を使っていたものの、疲れ果てていたのか、メニューや食事の写真は撮影を忘却。

だけど、これ! これが、本当に本当に美味しかった!!
フランスに来て、最初に飲んだホットショコラ。
甘くないのが、とてもよかったです。ざくざくっと刻んだチョコレートが入っていて、チョコレート本来の滋養というか、うまみが味わえました。途中で甘くしたくもなったので、砂糖で調整。それもまた美味。
これを皮切りに、フランス滞在中、私は毎日のようにホットショコラをオーダーすることになるのでした。
22時半。ホテル着。
まずはお茶を淹れて、SNS投稿の下書き。
日記を書いたり明日の服をチェックしたりしているうち、日付が変わってしまいました。レンタルのヒーターはさっそく大活躍。入浴して、ベッドにもぐりこみます。 実質、本当に長くて濃い一日のスケジュール、無事に完走。まだまだフランス出張仕事は始まったばかりです。続く!

