
- 書評
シリーズ化希望! 多彩な魅力を持つ、新鮮な捕物帳【評者:細谷正充】
浪華なにわか江戸か。築山桂の時代小説を手にして、まず気にするのがこのことである。というのも一九九八年の第一著書『浪華の翔風かぜ』を刊行してからしばらくの間は、NHK土曜時代劇「浪花の華 ~緒方洪庵おがたこうあん事件帳~…
浪華なにわか江戸か。築山桂の時代小説を手にして、まず気にするのがこのことである。というのも一九九八年の第一著書『浪華の翔風かぜ』を刊行してからしばらくの間は、NHK土曜時代劇「浪花の華 ~緒方洪庵おがたこうあん事件帳~…
4 継がれていくものには 質屋さんと同じような感じでね、って千弥さんに教えてもらっていた。 例えばだけど、たくさんの同じような壊れた商品を持ってきて、これを全部修理してほしい、なんていう注文があったとき。必ず、身分証明…
連載二回目は、前回の渋谷から山手線外回りで13駅離れた、日暮里駅からスタート。改札を出ると、平日昼間にも関わらず沢山の人が行き来している。日暮里は、私の中でそこまで人がいるイメージはなかったが、と思っていなかったが、想像…
ユニバーサルシティ駅を出て一歩踏み出す瞬間、杏子きょうこはかならず、あえて顔を伏せる。脈がはやくなるのを深呼吸で抑える。一、二、三、と数えて、それからぱっと顔を上げる。大好きな風景だから、改札から吐き出される大量の人び…
もしも願いがひとつだけ叶うなら、ママはなにをお願いする? 娘がまだ幼かった頃に、初佳もとかはそう問われたことがある。ちょうど、保育園から帰るところだった。前後に子ども用の座席を設置した自転車にまたがり、保育園を出るなり…
3 その贈り物に込める思いは 〈たいやき波平〉さん。 私がうんと小さい頃にはまだ和菓子とかも売っていたそうなんだけど、作っていたおじさんやおばさんが亡くなってからは、たいやき屋さんになったんだ。そして、警察官だった禄朗さ…
私は、歩き方が変らしい。私単体でもそうかもしれないし、特に人と歩いたりするとよく言われる。「ちょっと!私の右側か左側かどっちにいるか決めて。落ち着かないから」「今、かかと踏んだでしょ。距離感ちゃんとしてね」「大人なんだか…
2 結婚のお祝いに、幸せになるために。 〈おもちゃのチヤチエチャ〉の営業時間は、午前十時十五分から午後八時三十分までに決まっていた。 基本はカプセルトイとクレーンゲームだけだから、あまり早く開けてもたぶんほとんどお客さん…
序章 『薄うす墨ずみ』と呼ばれる色がある。 例えば、最近海の外からやってきた水彩画。この絵具を好き勝手に混ぜてみる。すると色は鮮やかさを失い濁り、やがてどんよりとした灰色になる。彩りも光も失ったこの色を薄墨と呼び、人々…
昨年11月、15周年を記念して刊行された『恋文の技術 新版』。同月9日、物語の舞台である石川県の石川県立図書館さんにて森見登美彦さんのトークイベントが行われました。その一部をお届けします! トークイベント聞き手:上田敬太…