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#2 Shall we ホルモー?
このたび、デビュー作『鴨川かもがわホルモー』が刊行から十八年のときを経て、舞台化(十五年ぶり二度目)する運びとなった。 ついては、「本読み」なるものにはじめて参加した。 そも、「本読み」とはいかなるものか。 それは、役…
このたび、デビュー作『鴨川かもがわホルモー』が刊行から十八年のときを経て、舞台化(十五年ぶり二度目)する運びとなった。 ついては、「本読み」なるものにはじめて参加した。 そも、「本読み」とはいかなるものか。 それは、役…
ついに開幕である「万城目学のエッセイ万博2024」! エッセイ連載のタイトルには、常に「万」をつけていくスタイルゆえに、今回の連載を始めるにあたり、「万博」なる単語を採用した。 されど、「万博」の言葉が持つ「世界に開け…
この本は、「いらっしゃいませ」やメニュー、代金が言えず、接客のアルバイトをあきらめていた若者たちが始めた風変わりなカフェを取材したルポルタージュだ。若者たちの共通点は話し言葉がなめらかに出ない「吃音(きつおん)」があると…
序章 言葉を巡る旅への離陸 他者と向き合うとき、本当は私の話など興味ないんじゃないかと、疑いたくなる悪い癖がある。 相手の相あい槌づちが多いほどそうだ。自分を見ているようで、せつなくもなる。 私は、取材現場で無駄に相…
滅亡しない日 教室から近い、二階女子トイレ。鏡に向かいながら、荒れた唇に、新しいリップグロスを塗る。ドラッグストアで、口コミサイトで大人気だというようなことが書かれた派手なポップが添えられていたものだ。薄い赤に色づく…
大阪に住んでいた頃ですので、すでに七、八年近く前になるでしょうか。今の担当さんがはるばる大阪まで来てくださって、小説の依頼を受けたのが始まりです。 それから数年後、久しぶりに東京でお会いした時、「前に原田さんから『夜…
尊敬するティーブレンダーの方が、ブレンドを生み出すときには舌や鼻だけでなく、茶葉が育った景色や風の音、その土地の香りを思いながら思考と試行を重ねていく、と仰っていた。 わたし自身、台湾のお茶を飲むときに味や香りととも…
「Aの図とBの図、『静けさ』を表しているのはどちらだと感じる?」 担任で美術担当の二木にき良平りょうへいが、教室の生徒全員に問いかけた。美術室の黒板には、大きな白い紙に印刷された二枚のシンプルな図が、四隅をマグネットで留…
シェフィールドは坂の多い街だ。丘が七つもあるらしい。どことどこが何という丘なのか、わたしにはさっぱりわからないけれど、とにかく寮と学校との間を上がったり下がったり、毎日通っている。なんだかわたしの人生みたいだなと思いな…
ママはダンシング・クイーン 「ママ、チアリーダーになる!」 突然の宣言を、家族はことごとくスルーした。「ママ、おかわり」と息子は茶碗ちゃわんを突き出し、「あ、俺も」と夫がつられ、「ねえ、お弁当まだ? 早くしないと遅刻しち…