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【うちがふつうで、よそがへんなの!3】笑ういもうと
ふすま一枚隔てた向こうが、兄の部屋だった。 広さは変わらないけれど、畳敷きで、いつもお香のあまったるい匂いがした。小さな部屋で長いお香を焚くものだから、入るたび、目がしぱしぱした。 朝になると、兄は大音量で音楽をかけ…
ふすま一枚隔てた向こうが、兄の部屋だった。 広さは変わらないけれど、畳敷きで、いつもお香のあまったるい匂いがした。小さな部屋で長いお香を焚くものだから、入るたび、目がしぱしぱした。 朝になると、兄は大音量で音楽をかけ…
ラッキーは、とつぜん家にやってきた。 遠くの街からもらわれてきた子だった。鍵しっぽで、手のひらの上で眠れるほどの小さな猫。やってきた猫を、母と父はふたり並んで、じっと見つめた。 そして、どちらからともなく、「これは、…
「コンビニ行くけどなんかいる?」と父が言った。 父は病気がちになってから、働かずに家にいることが増えたのだ。あまり遊びにもいかず、放課後や夏休みはずっと家にいる中学生だったわたしは、父と過ごすことが多かった。 そうは…