
- エンタメ
【うちがふつうで、よそがへんなの!10】夏まつり
「明日はまつりに行こう」と、土曜の夜に父が言った。 なんだか、へんな気がした。 父はひとの多いところをとことんきらう人で、小原家はこれまで、ひとの集まる場所へは、ほとんど出かけたことがないのである。それが、まつりに行く...
「うちがふつうで、よそがへんなの!」は母の口ぐせである。言われるたび、私はむくれた。うちはどこか変なんじゃないかと、思っていたのだ。けれどいまは、人はそれぞれ、自分の暮らしをふつうとして生きているのだとわかる。だから、この連載では、小原家のふつうの話をふつうに書いていくつもりである。
——小原晩
『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』『これが生活なのかしらん』など、エッセイ刊行のたびに注目を集め続ける小原晩が、幼少期を中心に自身の家族の「ふつうの日常」をえがくエッセイ。