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【うちがふつうで、よそがへんなの!2】ラッキーとポンとコロン
ラッキーは、とつぜん家にやってきた。 遠くの街からもらわれてきた子だった。鍵しっぽで、手のひらの上で眠れるほどの小さな猫。やってきた猫を、母と父はふたり並んで、じっと見つめた。 そして、どちらからともなく、「これは、...
「うちがふつうで、よそがへんなの!」は母の口ぐせである。言われるたび、私はむくれた。うちはどこか変なんじゃないかと、思っていたのだ。けれどいまは、人はそれぞれ、自分の暮らしをふつうとして生きているのだとわかる。だから、この連載では、小原家のふつうの話をふつうに書いていくつもりである。
——小原晩
『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』『これが生活なのかしらん』など、エッセイ刊行のたびに注目を集め続ける小原晩が、幼少期を中心に自身の家族の「ふつうの日常」をえがくエッセイ。