- エッセイ
杏のとことこパリ子連れ旅
1 行きの飛行機、いきなり大ピンチ! まず諸準備から想定外だった。インターネットで飛行機のチケットを取ろうと思ったら「大人一人につき、未就学児の子供の同行は二人まで」とあり、いきなり躓つまずいた。ウェブ上でのフォーム…
1 行きの飛行機、いきなり大ピンチ! まず諸準備から想定外だった。インターネットで飛行機のチケットを取ろうと思ったら「大人一人につき、未就学児の子供の同行は二人まで」とあり、いきなり躓つまずいた。ウェブ上でのフォーム…
2014年に『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞し、翌年デビューした寺地はるなさん。ポプラ社より5月25日刊行の最新作『雨が降ったら』は、さまざまな境遇に生きる40代の女性たちが、「わかば洋傘店」という一風変わっ…
あぁ、そうだった。連絡帳! お着替えセット! お布団セット! プールの日の検温! 本書を読みながら、二十年ちょっと前、息子を保育園に通わせていた日々を思い出す。一歳児クラスから入園できた保育園は、公立で駅近という、思い…
プロローグ ようこそ、天空遊園地まほろばへ。 こんな真夜中にお越しいただき、誠にありがとうございます。 わたくし当園の案内人、シチカと申します。 ここは死者に会える遊園地──。 もう二度と会えない、あなたの大切な方と…
ユニバーサルシティ駅を出て一歩踏み出す瞬間、杏子きょうこはかならず、あえて顔を伏せる。脈がはやくなるのを深呼吸で抑える。一、二、三、と数えて、それからぱっと顔を上げる。大好きな風景だから、改札から吐き出される大量の人び…
「好きな食べ物」がみつからない。 いや、好きな食べ物はいくらでもあるんだ。 なんだかいきなり情緒不安定なことを言ってしまった。私がみつからないという「好きな食べ物」とは、 「あなたの好きな食べ物はなんですか?」 と…
【201908262310.m4a】 はじめまして。村むら井い翔しょう太たといいます。よろしくお願いします。 とりあえずあの日のこと、全部話しますね。正直、気は進まないですけど。肝試しになんて行かなければ、杏あんは死な…
序章 陽湖、目覚める 青空がとても高く、緑の草がとても近い。その葉をかき分けて私は走っていた。 夏草は匂いが濃く、私の匂いも消してしまう。走っているといつしか自分もこの草原の一部になる気がする。 草の中に背の高い人間が…
2 感謝された。オーナーからだ。 やはり面倒な客から逃げ出したというのが真実だったようで、夕方ごろに店へ帰ってきた彼女から「深川カヌレ」と小箱に書かれた洋菓子を渡された。門前仲町まで行っていたらしい。「急に怒り出す…
序章 言葉を巡る旅への離陸 他者と向き合うとき、本当は私の話など興味ないんじゃないかと、疑いたくなる悪い癖がある。 相手の相あい槌づちが多いほどそうだ。自分を見ているようで、せつなくもなる。 私は、取材現場で無駄に相…