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【WEB限定】「僕は、さよならの先で君を待つ」あとがき

ポプラ文庫ピュアフル5月刊『僕は、さよならの先で君を待つ』のあとがきをWEB限定で公開中です!

あとがき

「僕はさよならの先で君を待つ」を読んでいただいた皆様、どうもこんにちは。久し振り。初めましてかもしれない。優衣羽です。


今回のあとがきはまさかのQRによるネット記事です。そう、何て言ったって世界観が崩れるからね! 話すとね! 以前あとがきを書いた際、ちょっと世界観が崩れたかも……という意見を目にしたので書くのは止めようかなあと考えていたのですが(あ、全然ショックは受けてないです)、意外にもあとがきを望む声が多く、なら本に載らなきゃいいんじゃね? という考えの元こうなりました。面白いよね。

一年振りの書籍になりますが、この一年色んな事がありました。よく息してるねと自分をほめてあげたい所存です。皆、積極的に自分を褒めていきましょう。
そもそも書籍を出すという事自体、奇跡で重なった偶然のようなものなのに、人間って欲深いから慣れてしまったのかもしれません。それを改めて思い知らされる一年でもありました。

自分の価値だとか、作品の出来だとか、より美しい物を求めれば求めるほど自分に求めるものが高くなり、周囲の期待も高くなり、その度に自ら選んだはずの道が苦しくなったり。何度も何がしたいのか考え、この先どうなっていくのか。色んな事を考えました。

ちなみに結局辿り着いた結末は、もう自分が好きな事をしようぜでした。お疲れ様です。

考えてもどれほど苦悩しても、結局できる事は限られているのです。一度に進化できるレベルが決まっているように。だからこそ、一つ一つ妥協する事なく空想を描こうと思いました。

っていうのが、この作品です。

この物語には三つの物語が隠されているような物語です。

一つは絶対的なさよならの物語。今まで絶対的なさよならに死を用いて表現する事がほとんどでした。だって絶対会えないから。未来の欠片さえ信じられないほど、絶対的なさよならが死でした。でも、ふと思ったのです。生きていたとしても、もう二度と会えない場所までさよならしたら。それはある意味死より残酷なのではないかと考えました。だって生きてるっていう希望はあるのに絶対会えないんだよ。期待出来ちゃうのに……って悲しいですよね。

二つ目は報われない人生の物語。作中で語られた十年後の機島は才能があり、一時的な名声を得ても決して幸せであるとは限らないという話です。どれだけ多くの人に愛される物語が書けたとしても、それを継続するのは難しく、皆が思っているよりも幸せな日々を送っているとは限らないのです。これに関しては機島じゃなくても、皆に共通するよね。はたから見たらとても幸せな人生を送っているけれど、実際本人はそんな幸せではないっていう。
自分の物差しで見ていたら、誰かを傷つける理由になっていた事。

三つ目はそれでも変わらない愛の物語。この物語の中に描かれているカップルが三組いました。機島と合内、雨宮と上好、江崎と彼女。三者三様の恋模様がありましたが、愛しているからさよならを選び、隣にいたから愛になり、愛するために罪を犯す。選択はそれぞれですが、正解は一つじゃないって事を書きたかったのです。

世界は今日も残酷だし、時間は簡単に過ぎていきます。明日がこれを読んだ誰かにとって、幸せなものでありますように。そしてまた、沢山の物語を皆様に届けられますように。また会う日まで。

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