2024.01.06 エンタメ 近松よろず始末処 序 雨が止やまない。 ずぶ濡れの体は冷えて、脇腹から流れる血だけが生ぬるい。 立ち上がる力は、虎とら彦ひこには、もうなかった。板塀に預けた背中も、地面に投げ出した足も、感覚がない。 あかん……とつぶやこうとしたが、す...