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撮らなければいけないもの
二日目の夜。 〈花咲長屋〉のお店を全部回って、そして常連さんとかの写真もほとんど撮り終わって、 〈矢車家〉に私と重さんが泊まるのは今夜で終わり。 いくら何でも写真を撮るためだけに三日も連続で泊まるのは厚かましいし、何…
二日目の夜。 〈花咲長屋〉のお店を全部回って、そして常連さんとかの写真もほとんど撮り終わって、 〈矢車家〉に私と重さんが泊まるのは今夜で終わり。 いくら何でも写真を撮るためだけに三日も連続で泊まるのは厚かましいし、何…
一九七六年、昭和五十一年の、私が生まれるずっと前の〈花咲小路商店街〉。こうやって歩いてみると、私がいる現代の雰囲気とそんなにも違いはないって思う。あくまでも雰囲気は、だけど。 もちろんお店の様子は全然違うんだけど、それ…
ちゅんちゅん、って。 スズメの鳴き声。 まるでマンガやドラマみたいなベタなシチュエーションみたいだけど、本当にスズメの鳴き声で目が覚めた。すごくたくさんのスズメたちが庭に来ているんじゃないだろうか。いつもこうなんだろ…
志津さんの腹違いの姉妹? それはつまり。 「志津さんのお父様、セイさんの義理のお父様になられた方が、奥様以外の女性と浮気して作った子供ってことですか?」 ひょっとしたら人生で初めてこんな人前では言い難い言葉を喋ったか…
『火を点けて燃やしてやる』 アパートの一室にいたその女性が、重さんのお祖父様、一成さんに向かってそう言っていた。 それを、重さんのお父様、今はまだ中学生の成重さんが聞いていた。 「それは」 重さんが躊躇いながら訊い…
<久坂寫眞館>で働く樹里と、店主の重。 ひょんなことから過去の花咲小路商店街にタイムスリップした二人(とセイさん)は、セイさんの自宅に忍び込むことにするのだが―― ※※※ 午前十時。 〈花咲小路商店街〉の四丁目にある〈…