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ぼくらは祈ることにした
1 白い壁に囲まれた会議室のパイプ椅子に腰かけた瑠生るいは、口から漏れそうになったため息を呑み込んだ。 改めてそこにいる面々に順繰りに視線を送る。 内科医の林はやしは、ニコニコと笑みは浮かべているが、大きな身…
1 白い壁に囲まれた会議室のパイプ椅子に腰かけた瑠生るいは、口から漏れそうになったため息を呑み込んだ。 改めてそこにいる面々に順繰りに視線を送る。 内科医の林はやしは、ニコニコと笑みは浮かべているが、大きな身…
プロローグ こつこつ。ボウルの縁に玉子を打ちつける。 こつこつ。力の加減が難しい。いつまで経っても、おっかなびっくり。こつこつ、こ。 うまくひびの入ったところから殻を割ると、とろ、と中身がボウルに落ちる。三つ割って塩…
一章 浄化の水 「なんだその辛気くさい顔は」 叶かな恵えがコーヒーを置いて笑みを浮かべたら、客に蛇だ蝎かつを見る目をされた。 天井から重厚なシャンデリアがつり下がり、コーヒーの匂いに彩られるカフェー。 ここは客と女給が…
「貴様を、我が花嫁を傷つけた罪で“地獄送り”に処す!」 豪奢な屋敷に招かれた貴賓たちが、息を呑む。 今、私を断罪したのは、鬼の一族の次期当主となる男。 私は彼に、嫁入りする予定だった。 ところが彼は別の女性を抱きながら、…
縦横四列に組まれた、十六のテーブル。 席に着いた者たちは静かにそのときを待っている。 腕組みをして俯うつむく青年、頰ほお杖づえをついて周囲を眺める少年。 微笑を浮かべる女、大あくびをする男。 手元の駒を整える少女、整え…
序章 『薄うす墨ずみ』と呼ばれる色がある。 例えば、最近海の外からやってきた水彩画。この絵具を好き勝手に混ぜてみる。すると色は鮮やかさを失い濁り、やがてどんよりとした灰色になる。彩りも光も失ったこの色を薄墨と呼び、人々…
ロンドンでは、お友達の上白石萌音ちゃんのホテルに泊めてもらっていた。 彼女が舞台「千と千尋の神隠し」の上演のためロンドンに行くことが決まった時、 「え〜便乗しちゃおうかな」「おいでおいで」 とゆる〜い会話は交わしていたが…
プロローグ 真っ暗な部屋の中で布団を頭から被り、恋人だった一いちノの瀬せ千ち夏なつのアカウントにメッセージを送る。『こんばんは。なんか眠れなくてさ、暇だから送ってみた。今日もなにもしないで部屋に引きこもってた。そろそ…
序章 神かん田だの裏通りのアパートに暮らす自称フリーカメラマンの見み取どり瑛えい吉きちのところにその電話が掛かってきたのは、春先のある日の夕方のことだった。 一階に住んでいる大家に呼ばれて階段を下りた瑛吉は、取り次い…
序章 ここは、愛憎渦巻く女の園、煌コウ華カ宮キュウ──別名、華カ園エン。 目に飛び込んできた絢爛豪華な光景に皆が目を輝かせる中、朱色の裙くんをまとった宮女が疑惑の眼差しを瓦屋根へ向けた。 そこに佇たたず…