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第10回

本が置いてある場所が本棚(畦地)

こんにちは。
一般書営業部の畦地です。

先日、社内のメンバーとご飯を食べていたら文芸編集部の森さんがぽつり。
「本棚の二列目、次の人がなかなか決まらないんですよね」
たしかに、他人の本棚を見てみたいと思う人は多いかもしれませんが、
自分の本棚を見せたいという人はあんまりいないのでは。
かくいうわたしもそちら側の人間です。
見たいが、見せたくはない。
森さんがため息。
「誰かやりませんか?やりましょうよ」という圧力を感じつつ、
ランチメンバーを見まわします。
門田さんも鈴木さんも美味しそうにパンを食べています。
そして二人とも、目が合わない。
森さんは困った顔をして、さらに追い打ちをかけるように、
社内数人に持ち掛けては「引越ししたばかりだから・・・」などと断られた経緯を語りだします。
周りは「大変ですねぇ」と頷くばかりです。
わたしも一緒になって頷きたかった、と今なら思います。
しかし、うっかり言ってしまったのです。
「わたし、本はあるけど、家に本棚が無いんですよね」
無いので出来ない、という方向に話がいくかなと
ちょっと期待しつつ切り出したはずなのに、森さんは輝くような笑顔を見せました。
その瞬間後悔しましたが、言ってしまったことを口の中に戻すことは出来ません。
「いいんですいいんです!本があるところが本棚ですよ!」
「お見せするほどのものでは」
わたしは抵抗を見せます。が、森さんは力強く頷きます。
「いいんです!大丈夫です!」
「いやでも、本がしまってあるのもクロゼットとか食器棚とかで」
「逆に見てみたいです!」
「あの」
「締め切りは来週末にしましょう!」
※一部フィクションです。

前置きが長くなりました。
というわけで本が置いてある場所が本棚方式で、自宅の本を公開します。

読んだ本を人に貸したりあげたりすることが多くて、
自宅の本はそんなに多くないです。
東京の部屋がそんなに広くないので、
気に入って何度も読みたいものの一部は地方の実家に送るという荒業も併用しております。
お母さんから「もう本を送ってこないで!!!!!」と怒られ続けています。
アラサーになっても叱ってくれる身内がいるって貴重ですね。
panpanyaさんの漫画だけは気に入りすぎて同じ本が2冊あるという意味不明な本棚です。

机周りにあんびるやすこさんの一角が。
本当はシリーズでどーんと並べたいのですが、ちょっとだけ。
今年の四月に原因不明の発熱で一週間くらい寝込んでいたのですが、
大袈裟に、このままわたしは死ぬのかな、と思ったら
あんびるさんの本が読みたくなって家族に買ってきてもらいました。

児童書とか民話とか童話が大好きなのですが、
そのまま走ると異界の住人になってしまいそうなので、
ビジネス書をちょこちょこ読みます。
ある程度は現代日本に即した人間になりたいなという見栄で読んでいるので
身になっているかは甚だ疑問です。


戸棚の本。
雑多に入りすぎててどれがどれやらですね。
の、奥もちらっと。↓



ムーミンコミックスとかロシアの音が出る絵本(スイッチを押すと朗読してくれます)とか。
旅先でむやみに本を増やしてしまう悪癖があり、
だいたい帰りに肩が割れそうな思いをして後悔します。

吊戸棚。



食器棚。



レシピ本や食エッセイは食器棚に一緒にぼーんとしまっています。
『戦場のコックたち』はここじゃないだろ!と思いますよね。
わたしもそう思います。
水酸化ナトリウムの奥の本は『お風呂の愉しみ』という石鹸づくりの本なのですが、
カバーをかけたまま撮ったせいでわからなくなってしまいました。

石鹸や料理に限らずレシピ的なものは、
ネットで見ればいいじゃん!と言われることも多いのですが、
紙で一冊にまとまっているとなんとなく安心感があるんですよね・・・。

かつてレシピ本をとっかえひっかえしては上手くいかなかった時分に、
料理エッセイを読んだらするーっと料理が苦じゃなくなった経緯があり、
それから料理エッセイは結構好きなジャンルになりました。

↓本を大事にする本好きが見たら悲鳴が上がりそうです。
積読と読んだ本を雑多に入れたキッチンワゴン。

気に入った包装紙とかを適当にブックカバーにしてしまうのですが、
コーナーの意図に反して本棚の中身がわかりにくく、
申し訳ないばかりです。
黄色の包装紙がレトロで気に入っているのですが、
まさか朝井リョウさんの『死にがいを求めて生きているの』も、
和歌山のお菓子屋さんの紙で包まれるとは思ってなかっただろうなと
写真を撮ってみてからいたたまれない気持ちになりました。

あと、カバーがかかっている中で薄い本は、
だいたい、挫折したダイエット本とか筋トレ本です。
しょうもないですね。

↓引き出しの中。米原万里さんと内田洋子さんはつい読んでしまいます。

最後に、これだけは自慢!という本を。
現地で手に入れたロシア民話の本です。
ロシアのビリービンという画家が大好きなのですが、
ビリービンの民話の挿絵が本当にもう素晴らしくて素晴らしくて、
眺めているだけで幸せな気持ちになります。

ビリービンって誰?という方が大多数だと思うのですが、
日本でも本が出ているので、ぐっときた方がいたら、探してみて下さい。
晩年、画風が変わってしまうのがちょっと惜しまれます・・・。

民話や童話が大好きなのですが(二回目)読んでいると、
アフリカにもヨーロッパにもアジアにもアメリカにも民話とか童話って
必ずあって、本という形になっているかどうかは別にして、
物語が全くない国ってないんだな~と思うことがあります。

というややもすれば乱暴な盾を武器に、
マイナージャンルの森をうろうろ彷徨っています。
迷い込みたいという方には一冊お貸しします。
向こう側から手を振ってお待ちしております。

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