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第16回

ディープな本は実家に置いてきた本棚(佐野)

コンテンツ事業部の佐野です。
森さんからお声がけいただいた時には、「ああ、ついに」と思いました。
そして、まずは本棚の整理から始めようとしました。
というのも、昨年の3月に子どもが生まれて、絵本が増えたり、
育休中、娯楽のための本がボコスカ増えていたからです。
本棚がある部屋は、普段納戸代わりにしている、クーラーがない部屋。
猛暑の日々に整理するのは無理、と半ば放棄し、
森さんとは目を合わせないように努力する日々…
そして、季節はうつろい、今は秋…
森さん、本当に申し訳ありません。。。


こちらはリビングにある本棚・単行本専用です。


仕事と娯楽と絵画と育児系と児童文学系と、、、カオスですね。
でもわりとアッサリ。


唐突ですが、高校生の時に「将来、児玉清か立花隆か荒俣宏みたいになりそうな人と結婚したい」と公言しておりましたところ、
「将来・なりそうな」がぬけて、あいつはカレセンと噂されていました。
森さんには、「アラマタ先生好きのゆえんたるディープな本棚出してもいいんですよ」と
悪魔のささやきがありましたが、ご期待に沿えなくて申し訳ない。
実家の本棚の方がディープなんです…


森さんからはお声がけの時に、「ママさんの本棚が少ないので」と言われたのですが、
あまり育児書はありません…


もう少し育つといろいろ欲が出てくるのだと思うのですが、
正直なところ、今のところ「母子ともに死なない・死なせない育児」がスローガン。よく食ってよく寝てくれたらそれでヨシです。
早生まれ男児持ちに、良き育児書があればぜひ教えて欲しいです。


育児書はあまり読んでいないのですが、産後クライシス関係はかなりの10冊以上は読みました。
その中で本当に読んでよかったと思えるのが、『ふたりは同時に親になる: 産後の「ずれ」の処方箋』
すべての産前産後のご両親に読んで欲しいです…救われる夫婦が沢山いると思います。


最近読んで、面白かったのは『本のエンドロール』です。
『本のエンドロール』は本の印刷会社で働く方々を主人公にした作品です。どんな製品でもそうだと思いますが、私たちが手に取るまでには、本当にたくさんの人の努力や葛藤や様々な思いがあるのだなと思います。当たり前ですが、本もそうであって。


何も言わず、最後のページまでしっかりめくると、他ではなかなか味わえない気持ちが押し寄せてくると思います。本好きの人には絶対響く作品だと思います。
こちらも是非、ご一読ください。note 出版社の中の人「大変なのは、「問題」が絶対に起きないようにすること――出版社の「製作部」が語る、本音のお仕事」


大学院で児童文学を専攻していました。数冊、児童文学研究の本もありますが、ほとんどは実家に。



児童文学の好物は、ヴィクトリア朝・タイムファンタジー・歴史ファンタジー系が割と好きです。
エリナー・ファージョンという作家(『ムギと王さま』など)が一番好きで大学院で研究しようとしたのですが、
愛しすぎているが故、批判的な目で見ることができず、結局別な作家(アリンソン・アトリー)で修論を書きました。
大人になると児童文学を読み返す機会はあまりない人が多いかもしれませんが、是非一度でいいので、読んでみて下さい。
大人になってから読むと、感じ方が全く違っていて「違う本!?」と思うこともあるし、
新しい哲学に気づくこともあるかもしれません。
ただただ懐かしい気持になるだけでもいいと思います。
大人の物語に比べて単純に感じることもあるかもしれませんが、
必要な要素を残して面白い部分・エッセンスを取り出すのは、
とてつもなく高度なことだと思います。


あと、実家にはゲド戦記や荻原規子さんの勾玉シリーズ、ファージョン全集、ダール全集、カニグスバーグ全集などの単行本はほとんど実家に置いてきてしまったのですが、文庫と一部単行本(本棚後ろの方)はなんとか持ってきました。


もっと広い家に住んで、壁一面天井まである作り付けの本棚を買い、
実家からコレクションを持ってきたいものです…
仕事がんばろ…


子どもは男の子なのですが、ストーリー系のものよりも、車系や図鑑系ばかり見たがるので、内心残念です…
絵本大好きな私から見ると、あたりまえですが、全く違う生き物なんだなぁ、と感じます。そのまま我が道を行ってもらいたいです。
とはいえ、できれば息子も本が味方だと感じるような人生にして欲しいと思っています。メディアはどんどん進化していますが、私の蔵書をいつか手に取ってくれたらと思います。
紙の本の良いところの一つは、物理的に引き継げて、その人の気配を感じられることだと思います。
この本は、小学生当時、母方の実家で見つけました。




「小学生だった母」の気配を感じてとても嬉しかったことを覚えています。
(一応個人情報なので、名前はボカシます)


お待ちかね(?)こちらは癒しのマンガたち(裏に続刊があり、既刊は全部持ってます。)




『ハチミツとクローバー』を読んで、大学に入ったら男女のキラキラが待っていると思った女子校の高校生でしたが、、、、(後略)
マンガはその時々でハマった時に一気に読むので、他の思い出とともに思い出します。
今あまり開拓できていないので、おすすめのマンガあったら教えてください。
大島弓子・山岸涼子を特に愛してます。『日出処の天子』が好きすぎて、リアル中2の時に主人公の妹の刀自古(とじこ)と同じ髪型にしていました。完全に病ですね。
大島弓子選集は実家にあります。実は父が大ファンで影響を受けました。
若き日の父は「大島弓子って知ってる?」とマンガを貸して母を口説こうとしたのですが、母は「軟弱な男だな」と思ったそうです。
母はあだち充ファンで実家には『タッチ』が全巻そろっています。


他はいたって面白みのない本棚です。気が付くと女性作家のものを読んでいることが多いです。
梨木果歩さんのエッセイが大好きです。梨木さんのモノの考え方が本当に素敵で、私淑していると言ってもいいかもしれません。
江國香織さんが本当に大好きで、季節ごとに繰り返し読みたくなります。
子どもが寝たあと、お風呂の中で本を読むのが最大の癒しなのですが、
江國さんの本を読むと瞬時に別な世界の空気を吸えます。
好きな作家さんは沢山いますが、一番没入できるのは江國作品です。
頭の中で再生される一人シアターみたいな感じです。


子どもは、食べちゃいたいくらい可愛いけど(そうでもないときもある)、
言葉が通じない生き物と毎日二人きりで、自己を抑制させられてずーーっと家に閉じ込められているというのは、
かなりストレスフルでしたが、本で瞬時に別な世界に行けることでかなり救われました。
考えてみたら、困難なことや鬱屈した気持ちがあるときに、常に本に数われてきたと思います。
今のところ、何の変哲もない平凡な人生ですが、本が常に傍らにいてくれたことは幸甚なことでした。


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