- エッセイ
第4回 2日目・前編 来たよ、グラン・パレ!
4月11日(金)。一晩明けて、朝。 起きたらホテルのベッドにいて、一瞬、戸惑いました。 えーと、そうだ、ここはフランス。出張に来ているんだった。 ベッドからのそのそと抜け、毎朝欠かさない「起き抜けの白湯」を飲み、簡単に着…
4月11日(金)。一晩明けて、朝。 起きたらホテルのベッドにいて、一瞬、戸惑いました。 えーと、そうだ、ここはフランス。出張に来ているんだった。 ベッドからのそのそと抜け、毎朝欠かさない「起き抜けの白湯」を飲み、簡単に着…
唐代。芙ふ蓉よう城じょうとの呼び名高い都、成せい都と。 早朝、物もの見み櫓やぐらの下で死亡している男性が発見された。中肉中背で、年の頃は三十ほど。後頭部からおびただしく血を流し、開いたままの両目、鼻腔から血が伝っている…
なにか新しいことをはじめたいなと思うことがあっても、つい後回しに。気負わず、ちょっとしたことからやってみようか?例えばスタバの新しいカスタマイズだったり。タクシーアプリを使ってみたり。その先になにがあるかはわからないけれ…
夏休み初日の朝。中学2年生のホノカは違和感を抱きながら目覚める。自室のベッドで寝ていたはずが、そこは大きな体育館だった。周囲を見渡すと、他にも7人の少年少女がいて――。 荻堂顕の新作『いちばんうつくしい王冠』は、青春…
朝、パリのシャルル・ド・ゴール空港に着いてから4時間後、部屋と自分を整えたところで、仕事のスタート。 16時30分。まず最初に組まれていたスケジュールは、Radio VINCIというラジオ局の番組「Marque-Page…
7 甦るおもちゃたち 五月にオープンした〈おもちゃのチヤチエチャ〉。 今年はとってもいい気候だったと思う五月はあっという間に過ぎて、鬱陶しい梅雨も終わって、またしてもあっという間に夏がやってきて。 猛暑。 本当にもう日…
一話 子喰い鬼 益えき州しゅうでも一、二を争う繁栄を見せる成せい都と。 黎れい明めいは、その喧けん噪そうに圧倒された。商品を積んだ馬車や、籠を背負った行商人、旅人たちが大路を行き交い、通りに立ち並んだ旅館や飯屋には、…
第1話 小麦と発酵バターのクロワッサン 1 パンが焼ける匂いは、どうしてあんなに幸せな気持ちになるんだろう。 オーブンの熱気にとけて甘い香りがほんわりと漂う。焦げ目がつきはじめた生地から香ばしい匂いがして、じゅわ…
<出国して宇宙を見る> 4月10日(木)、18時。 羽田空港で無事に三枝さんと合流し、ポケットWi-Fiのレンタルと換金を完了。現地ではほとんどクレジットカード決済なので現金は少しで良いとのこと。1万円ほどユーロに替えま…
一章 浄化の水 「なんだその辛気くさい顔は」 叶かな恵えがコーヒーを置いて笑みを浮かべたら、客に蛇だ蝎かつを見る目をされた。 天井から重厚なシャンデリアがつり下がり、コーヒーの匂いに彩られるカフェー。 ここは客と女給が…
マッサージが好きだ。なんなら愛している。 「わたし、最期はヘッドスパされながら死にたいんです」と頭部をほぐしてもらいながら伝えたこともあるくらいには重い。 指圧も好きだし、オイルも好きだし、基本見境はない。 整体…
小学一年生の二学期くらいまで団地に住んでいた。 覚えているのは、台所についている透明なひも。 「このひもなあに」 短い髪でツインテールした私がきく、母は片方の口角をあげてにいと笑い、ゆでたまごを右手にもち、左手でひも…
開園前の遊園地が、こんなにキラキラして見えるなんて初めて知った。 まだ客のいないそこは、想像していたよりずっと広大に感じる。朝日を浴びたアトラクションが、むずむずと喜びをこらえながら始まりの時を待っているみたい…
2024年、夏。お暇をいただきヨーロッパに行くことにした。 この連載は、とにかく軽やかに、時に雑に、休息の素晴らしさについて語らう連載にしていきたいとは思っているのだが、序章は、少々重い話になりそうである。 しかし、…
ロンドンでは、お友達の上白石萌音ちゃんのホテルに泊めてもらっていた。 彼女が舞台「千と千尋の神隠し」の上演のためロンドンに行くことが決まった時、 「え〜便乗しちゃおうかな」「おいでおいで」 とゆる〜い会話は交わしていたが…
「好きな食べ物」がみつからない。 いや、好きな食べ物はいくらでもあるんだ。 なんだかいきなり情緒不安定なことを言ってしまった。私がみつからないという「好きな食べ物」とは、 「あなたの好きな食べ物はなんですか?」 と…
連載第三回目は、池袋を歩く。 池袋にはプライベートでもよく遊びに行くことがある。 この街は平日、休日関わらず、人々で溢れとても賑やかだ。歩く人々を眺めているだけでなんだか面白い。 赤、緑、オレンジ、奇抜な髪色をしていたり…
【201908262310.m4a】 はじめまして。村むら井い翔しょう太たといいます。よろしくお願いします。 とりあえずあの日のこと、全部話しますね。正直、気は進まないですけど。肝試しになんて行かなければ、杏あんは死な…
君の涙 やけに蒸し暑い日曜日の深夜。僕は部屋の片隅にある扇風機のスイッチを入れ、勉強机に向かった。 椅子に腰掛けてノートパソコンを起動し、映画やアニメなどを視聴できる動画配信サイトに飛び、僕に刺さりそうな物語を物色す…
商品やサービスから個人まで。魅力、強さ、価値がなかなか伝わらない時代です。差別化は考えられているのに、いったいなぜ?? その大きな理由は「付加価値をうまく作れていないから」。役立つのは「差別化」ではなく、「付加価値化」な…
2025年、戦後80年の節目に、ポプラ社は一冊の本をコミカライズします。『いしぶみ 広島二中一年生全滅の記録』(広島テレビ放送 編/ポプラポケット文庫)です。 原爆投下の日、爆心地から約500mの場所にいた広島二中一年生…
今回は羽田からロンドンへの直行便。 前回も触れたが、2023年にお友達のゆうぴーこと優河さんとニュージーランドに行った際、行きも帰りもトランジットのオーストラリアにキャリーバッグが置き去りにされるハプニングが発生した為、…

石田祥『うちのカメのこと』
乙一『山田ムノアールは生きている』
坂崎かおる『ゾウキリン』
早見和真「12歳の君へ」
安壇美緒「もう一度行きたい場所」
大島真寿美「本の森には…」
綾崎隼『さよなら、探偵』/ 瀧羽麻子『我らが音楽に祝福あれ』/ 寺地はるな『雨が降ったら』/ 天童荒太『祈りの森の物語』/ 東川篤哉『博士はオカルトを信じない2』