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英国溜息物語(えいこくためいきものがたり)の段
シェフィールドは坂の多い街だ。丘が七つもあるらしい。どことどこが何という丘なのか、わたしにはさっぱりわからないけれど、とにかく寮と学校との間を上がったり下がったり、毎日通っている。なんだかわたしの人生みたいだなと思いな…
シェフィールドは坂の多い街だ。丘が七つもあるらしい。どことどこが何という丘なのか、わたしにはさっぱりわからないけれど、とにかく寮と学校との間を上がったり下がったり、毎日通っている。なんだかわたしの人生みたいだなと思いな…
数分産まれるのが早ければ、人生は逆転していたのだ。 ジャック・タガートは、その可能性についてよく考えた。英国特別幻想取締報告局の中にいて、そのことに思いを馳せずにいるのは不可能だった。この国では、ある条件下で産まれた者…
「皆川に頼まねぇ?」 コロッケパンを食いながら、近藤が言った。「なんで皆川?」俺は小声で訊き返す。近藤は肩をすくめた。「器用じゃん。このあいだシングルに褒められてたし」「でも……、なんか変わってる…
イギリスには、「ファンタズニック」という言葉がある。 幻想的生命体に遭遇した人々が陥るパニック状態のこと。 妖精や精霊、ゴーストなんかがごく普通に存在するこの国では、ファンタズニックもまた頻繁に起こる――。 そんなわ…
一般書営業部の宇田川です。 一般書(児童書以外すべての本)営業部の皆様の業務を、円滑に進められるようにサポートのお仕事をさせていただいています。 普段からこの連載を楽しみにしており、事あるごとに担当森さんへ「いやーほんと…
月曜日 萩原紗英 朝は白い。いつもそうだ。空だけでなく、目にうつるすべてのものが淡い。すれ違う人の顔も、遠くに見える建物も、すべての輪郭がぼやける。でもそれは、ただ目が完全に覚めきっていないせいかもしれない。電車の吊…
六 名も無き調律師は何者なのか 小学校にあるグランドピアノをボランティアで調律してくれたその人の名は、〈瀬戸丸郁哉せとまるいくや〉さん。 名刺などは貰ってなくて、連絡先だけメモしてあったそうです。禄朗さんがその名前を…
じつは、うちの息子が中学の最高学年(わたしが暮らしている英国ではセカンダリー・スクールは11歳から16歳まで5年間通います)で卒業間際であり、いまプロムの話でもちきりなので、おお、なんというタイミング! と思いながら読…