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【変な奴やめたい。12】幻のトカゲ
私の家は急な坂の途中にあって、そこからさらに50メートルほど坂を登ったところには広い空き地があった。手前に小柄な桑の木が生えていて、ほかに目につくものはなにもない。草と石ころばかりの空き地だ。 小学校がおわると、私は...
変な奴やめたい。私は変な奴だ。変な両親に育てられ、変な男と付き合い、変な友達と遊んで暮らしてきた。もう嫌だ。変な奴はもうやめたいのだ——noteで脚光を浴び、またたく間に大注目の書き手となった文筆家・伊藤亜和は、こうして「変な奴」になっていった。恥ずかしくも愛おしい子ども時代を振り返るエッセイ。