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名も無き調律師は何者なのか
六 名も無き調律師は何者なのか 小学校にあるグランドピアノをボランティアで調律してくれたその人の名は、〈瀬戸丸郁哉せとまるいくや〉さん。 名刺などは貰ってなくて、連絡先だけメモしてあったそうです。禄朗さんがその名前を…
六 名も無き調律師は何者なのか 小学校にあるグランドピアノをボランティアで調律してくれたその人の名は、〈瀬戸丸郁哉せとまるいくや〉さん。 名刺などは貰ってなくて、連絡先だけメモしてあったそうです。禄朗さんがその名前を…
天井のシーリングファンが空気をかき混ぜている。 それにより春先にもかかわらず店内は斑(むら)なく高温多湿に保たれていた。「レプタイルズ・メサ」の中はいつも生き物の匂いと音に満ちている。ここの空調が常に熱帯じみた温度と湿…
四 義弟の禄朗くんはアンパイア 雨の日以外は散歩、ウォーキングを欠かさない。 一日一時間程度の散歩ぐらいはしないと、本当に身体からだがなまって死んでしまうかもしれない。まぁ運動しないからいきなり死ぬってことはないだろ…
生まれてきてごめんなさい定食 ふらっと立ち寄った定食屋に、『生まれてきてごめんなさい定食』というメニューが載っていた。 これってどんな定食なんですかって店員さんに聞いたら、言葉通り生まれてきたことを申し訳なく思ってる…
二 弟の名前は禄朗 お店の正面入口の自動ドアが開くと身体からだ全体にぶつかってくる音の洪水。 いろんな音楽に電子音。 さりげなく入っていって、店内の様子を見る。 平日水曜日の午後の店内は、ガラガラだけれどもお客様…
冬森灯さん最新刊『すきだらけのビストロ』にPOPをつけてくださる書店様を大募集!POPコンテストを開催いたします! 『すきだらけのビストロ』の発売を記念して、POPコンテストを開催させていただくことにいたしました! 本…
甘くてからい。煮詰まる音はくつくつとかわいい。四国の醸造元から取り寄せた醬油にてんさい糖で甘みをつけて、弱火で焦がさないようゆっくりと煮詰めた。里芋にこのタレを絡めて、みんながすきな味にする。 濃くておもい。味噌にぎゅ…
岩井圭也 くたびれたスーツの男が一人、タクシーから降りてきた。 四十歳前後と思(おぼ)しき彼に、身なりを気にしている様子はない。皺(しわ)だらけのシャツにくすんだ革靴。後頭部には寝癖が残っていた。ただし胸元につけた弁…
* とりあえず別荘内に戻った。 紅林刑事と二人、階段をどんどん降りる。 茫然としてばかりはいられない。白瀬くんを冤罪から救わなくてはならないのだ。 このままでは熊谷警部達が、寄ってたかって白瀬くんを犯人…
昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」を舞台にした、冬森灯さんの小説『縁結びカツサンド』 おかげさまで大好評いただいており、めでたく重版が決まりました! 重版を記念して、『 縁結びカツサンド』SNS感想投稿キャンペー…