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ぼくらは祈ることにした 第4話
1 瑠生るいは、水音みおと一緒に敬斗けいとの母親である愛美まなみの案内で、マンションの部屋に入った――。 玄関で靴を脱ぎ、廊下に上がってすぐのところにあるリビングルームに通された後、ダイニングテーブルに座るように促され…
1 瑠生るいは、水音みおと一緒に敬斗けいとの母親である愛美まなみの案内で、マンションの部屋に入った――。 玄関で靴を脱ぎ、廊下に上がってすぐのところにあるリビングルームに通された後、ダイニングテーブルに座るように促され…
来客があった日の夜、原田春乃はらだはるのはかならず部屋中を掃除する。 ドアノブや照明のスイッチといった触れやすい場所をすべて除菌し、ウェットシートをつけたワイパーで床を隅々まで磨く。トイレや洗面所はもちろん、日によって…
その人とは、一度だけ会ったことがある。 幼稚園児の翡ひ翠すいが、ほかの子どもたちと一緒に公園かどこかで遊んでいたとき、お気に入りだったふわふわのゴムボールを落としてしまい、それが道路へ続く出口のほうへ転がった。ボールの…
第1話 小麦と発酵バターのクロワッサン 1 パンが焼ける匂いは、どうしてあんなに幸せな気持ちになるんだろう。 オーブンの熱気にとけて甘い香りがほんわりと漂う。焦げ目がつきはじめた生地から香ばしい匂いがして、じゅわ…
一章 浄化の水 「なんだその辛気くさい顔は」 叶かな恵えがコーヒーを置いて笑みを浮かべたら、客に蛇だ蝎かつを見る目をされた。 天井から重厚なシャンデリアがつり下がり、コーヒーの匂いに彩られるカフェー。 ここは客と女給が…
「なあ、これやってみようや!」 そう言って、少し日焼けした肌の少年が私の顔をのぞき込んでくる。真っ白な世界のなかで、彼の瞳だけがキラキラ輝いて眩しいくらいだ。彼の手には、ハードカバーの児童向け書籍。ポップな色合いで華やか…
プロローグ 「ねえ、ほかの女と浮気してるでしょ」 仕事終わりに陽よう介すけを駅前のカフェに呼び出し、そう告げた。 交際を始めて四ヶ月。今までで最長記録だった。 陽介とは私が勤めているネイルサロンで知り合った。彼は私の常…
第一幕 ブランコ乗りのサン=テグジュペリ 拍手は雨のようだった。 羽衣の薄さをした幕が割れると、スポットライトが身体に降り注いだ。伸縮性が高く薄い生地しかまとわない肌に感じたのは、刺すような熱だった。その一方で身体の…
夜も更けつつある時間、帝都の下町に女性の悲鳴が響き渡る──。「きゃあああああ!」 夜闇に響いた声の主を、助ける者はいない。 女性は必死になって逃げていたものの、彼女を追う者はいなかった。 目には見えない〝なにか〟から、…
四 義弟の禄朗くんはアンパイア 雨の日以外は散歩、ウォーキングを欠かさない。 一日一時間程度の散歩ぐらいはしないと、本当に身体からだがなまって死んでしまうかもしれない。まぁ運動しないからいきなり死ぬってことはないだろ…