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僕と君の最後の7日間 こんぺいとうと星空の約束
「なあ、これやってみようや!」 そう言って、少し日焼けした肌の少年が私の顔をのぞき込んでくる。真っ白な世界のなかで、彼の瞳だけがキラキラ輝いて眩しいくらいだ。彼の手には、ハードカバーの児童向け書籍。ポップな色合いで華やか…
「なあ、これやってみようや!」 そう言って、少し日焼けした肌の少年が私の顔をのぞき込んでくる。真っ白な世界のなかで、彼の瞳だけがキラキラ輝いて眩しいくらいだ。彼の手には、ハードカバーの児童向け書籍。ポップな色合いで華やか…
プロローグ 「ねえ、ほかの女と浮気してるでしょ」 仕事終わりに陽よう介すけを駅前のカフェに呼び出し、そう告げた。 交際を始めて四ヶ月。今までで最長記録だった。 陽介とは私が勤めているネイルサロンで知り合った。彼は私の常…
第一幕 ブランコ乗りのサン=テグジュペリ 拍手は雨のようだった。 羽衣の薄さをした幕が割れると、スポットライトが身体に降り注いだ。伸縮性が高く薄い生地しかまとわない肌に感じたのは、刺すような熱だった。その一方で身体の…
夜も更けつつある時間、帝都の下町に女性の悲鳴が響き渡る──。「きゃあああああ!」 夜闇に響いた声の主を、助ける者はいない。 女性は必死になって逃げていたものの、彼女を追う者はいなかった。 目には見えない〝なにか〟から、…
四 義弟の禄朗くんはアンパイア 雨の日以外は散歩、ウォーキングを欠かさない。 一日一時間程度の散歩ぐらいはしないと、本当に身体からだがなまって死んでしまうかもしれない。まぁ運動しないからいきなり死ぬってことはないだろ…
二 弟の名前は禄朗 お店の正面入口の自動ドアが開くと身体からだ全体にぶつかってくる音の洪水。 いろんな音楽に電子音。 さりげなく入っていって、店内の様子を見る。 平日水曜日の午後の店内は、ガラガラだけれどもお客様…
第一章 余命銀行の新入社員 ロッカーに貼ってある【生内いけうち花菜はな】の名前が書かれた薄っぺらい磁石をはがすとき、胸はたしかに痛かった。 三月二十四日、金曜日。最後の出勤日である今日、引き継ぎをしているうちにいつの間…
一 幻のインディーゲーム『幸せの国殺人事件』を作った関東在住の大学生《AA》は、安堂篤子ではなく國友咲良だった――。 その太市の主張は、すぐには受け入れられるものではなかった。 「確かに《SAKURA》の六つのアルフ…
三 社員旅行で出かけた沖縄で、溺れた海水浴客を助けようとしたらしい――と太市は続けた。僕は無意識に息を止めていた。苦しくなって、そのことに気づく。心臓が激しく脈を打ち始めた。 水難事故で亡くなる人は、年間七百人から八…
一 太市のアカウントが消えていることに気づいた未夢は、最初は何かデータ上のトラブルが起きたのだと思ったそうだ。それですぐに太市に「WoNのアカウント消えちゃってるよ」とLINEでメッセージを送った。しばらくして太市から…