2023.06.02 エンタメ スタンドプレイ 後編 北口改札を出ると、女性はまっすぐ智とも子この家とは正反対の方面に向かった。 周りには終電を降りた北口利用者がちらほらおり、智子は彼らに交じって彼女のあとをついていった。 しばらく高架沿いの明るい居酒屋通りを歩いた。 ほ...
2023.05.05 エンタメ スタンドプレイ 前編 どうしてこんなことになってしまったんだろう。 ようやく見つけたタクシーに乗り込み、コートの前をかき合わせながら西にし智子ともこは運転手へ行き先を告げた。 終電の時刻はとうに過ぎ、駅からも離れたこんな人気ひとけのない住宅...
2023.04.07 エンタメ ルームナンバー203 まただ。 自室の扉を施錠し、一歩踏み出したところで野々森ののもり一はじめは足を止めた。 アパートの廊下には朝の光が満ち、安物のスーツを着た肩を肌寒さで竦めながら、野々森は隣室のドアノブにぶら下がったそれをじっと見つめた...